世界史好きが憧れる、神話の街「アテネ」で外せない3つの博物館

世界遺産の古代遺跡など様々な歴史的スポットが点在するギリシャの首都・アテネ。以前、アテネの食文化について紹介してくれた、無料メルマガ「出たっきり邦人【欧州編】」のライター・ロンドン在住の藤隼人さんが、今回は歴史好きの目線からアテネの魅力を伝えています。

古代ギリシャからローマ帝国

パルテノン神殿などを擁するアクロポリス周辺は、古代ギリシャを体現する重要な遺跡が数多く残っており、ギリシャを訪れる上で欠かせない場所です。

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また、広い展示スペースでゆっくりと鑑賞できる新アクロポリス博物館考古学博物館などで見聞を広げることも可能です。

古代から現代への道のりに目を移してみると様相は異なります。キリスト教がローマ帝国に広がって国教となったのに伴い、多くの神々が活躍するギリシャ神話を基にした多神教も、一神教のキリスト教が中心となります。この過程で、ギリシャ文化に敬意を払うローマ人たちが築いたアゴラ遺跡などが残されました。

ローマ帝国が東西に分割した際にビザンティンの支配下に置かれたギリシャは、その影響から正教が主体となりました。こうした事実にもかかわらず、キリスト教を主体とする各国でみられるような歴史的に大きな規模の教会は、アテネ市内にはほぼ存在しておらず、街角に小さなドームを備えた小規模な教会がほとんどなのは驚くべきことです。大きなものはギリシャ独立後に建設されたものがほとんどで、アテネにあるミトロポレオス大聖堂よりも海の窓口として知られる港湾都市ピレウスの方が規模も荘厳さも上回っているくらいです。

こうした事実は、ギリシャ正教がビザンティン正教から独立教会として成立してからまだ日が浅いのが影響しているのかもしれません。長きにわたりオットーマン帝国の一部だったギリシャが、独立運動を繰り広げる中での啓蒙活動の一環として受け止めてもよいでしょう。世界各地に移民したギリシャ人たちが居ついた土地で聖堂や教会を作って母国への心の拠り所とし、下手をするとギリシャ国内よりも壮麗な建物が多いのもこういった経緯があるのかもしれません。

イスラム教の影響

南欧とりわけバルカン半島やギリシャなどの地域は、数世紀にわたりイスラム教の影響下にあったところが少なくありません。隣国のブルガリアではイスラム教支配下の期間を暗黒時代と呼び、ブルガリア史をひも解いてみても独立運動が盛んになるまで全く停滞していたような感じを受けます。

これに対してギリシャは過去の遺産のおかげで西欧からの訪問者が途絶えず、細々ながらも古代ギリシャないしは民主主義の発祥地としての特別な歴史的偉業に対する思い入れが残されてきました。前回のギリシャ紀行では食べ物について触れましたが、ギリシャもブルガリアも食文化に関してはかなりトルコから影響を受けています。

これら地域を回ると名称こそ違えとも似たような食べ物が多く存在します。こういった部分についてどこもあまり言及しないのは、歴史的ないがみ合いがいまだに続いているからかもしれません


アテネ観光で外せない3つの博物館

アテネには多くの博物館があります。この中でも個人的に外せないのはアクロポリス博物館考古学博物館ビザンティン博物館の3つです。この中でもビザンティン博物館は唯一、古代から現代までを網羅し、アテネの変遷を伺うこともできるからです。

こうした博物館にギリシャ人の古代文化に対する敬意と自負心を感じ取ることができます。さまざまな角度から過去を見つめた博物館が多いので、興味のある博物館を訪れるのも好奇心を満たしてくれることでしょう。

あと欠かすことができないのはアクロポリスやアゴラ、そしてアクロポリスの反対側に位置するフィロパポスの丘。そしてちょっと歩きたい人おすすめなのがリカヴィトスの丘です。丘と言っても山ほどの高さで、この頂上には聖ジョージ礼拝堂があります。

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アクロポリスなどの眺望は素晴らしく、ぜひ行くことをお勧めします。旅行ガイドによってはケーブルカーで行けると書いているもののありますが、30分ほどで山頂まで登れるのでぜひ歩いて登ってください。サボテンなどの変わった草木からなる山並みを観察できます。

アテネは2、3日あれば大丈夫という方もいますが、遺跡や博物館・美術館を訪れるだけでなく、カフェ文化や外食、音楽なども新しい動きが出てきているので、昼間も夜も満喫できる街です。ちょっと道をそれて町の息遣いをぜひ感じてみてください。

プロフィール:藤隼人
『街角の風景』連載。イギリス・ロンドン在住。米国に長年住んだあとに意を決して帰国したものの、ちょっとした縁からロンドンに移住。欧州の歴史や文化に惹かれた著者が、東西奔放し欧州の今を多角的な観点からお伝えします。 日本ではあまり知られていない音楽シーンなどもぜひ紹介していきたいと思います。現在、無料メルマガ「出たっきり邦人【欧州編】」のライターとして活躍中。

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【著者】 出たっきり邦人 【発行周期】 週刊(金・火)

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