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濃さ、約31倍。北陸ダントツ人気の日帰り天然温泉「海王」

坂本 正敬
坂本 正敬
2019/01/14

肌のトラブルで悩む人に「カイオウにでも行って来たら?」と誰かが助言する姿を、富山県に暮らす筆者は何度も目にしています。あるいは雪の激しい冷え込んだ北陸の夜に、「カイオウにでも行きたい」と弱音を吐く人も身の回りに少なくありません。

この「カイオウ」とは、富山県射水市にある「天然温泉 海王」のこと加温・加水なしで源泉100%の天然温泉日帰りで楽しませてくれる温泉施設です。

同施設は天然温泉シールラリー「ゆらん」参加温泉ランキングで6年連続北陸No.1に選ばれる温泉でもあります。そこで今回は富山旅行の際に観光客が立ち寄りたい、この地元住民に愛される日帰り入浴施設を紹介したいと思います。

足湯でもひざ下は1時間ほどポカポカに

筆者撮影

天然温泉 海王」がある射水市は富山県西部、県庁所在地の富山市と県下第2の都市である高岡市の間に位置します。

目と鼻の先には道の駅・カモンパーク新湊や新湊博物館がありますが、基本的に周囲は水田地帯。その水田の中に周囲と孤立して建つ日帰り入浴施設が海王です。

筆者撮影

通り沿いに設けられた駐車場は、常に自動車でいっぱい。同店の屋外には無料の足湯もあるため、営業の仕事をしている筆者の知人は、寒い時期の外回りで心が挫けそうになっているときに、海王の足湯で気分を一新すると言っていました。

筆者も近隣を通りかかったときなどは、海王の温泉が恋しくて足湯だけを利用する機会もありますが、足早に立ち去るような楽しみ方でも、温泉に入れたひざ下はその先、1時間ほどポカポカしています。この泉質を求めて、県内のファンが大勢押し寄せているのです。

基準の約31倍もの成分が入った「濃い」温泉

海王の玄関(筆者撮影)

海王のお湯はナトリウム−塩化物泉です。ナトリウム−塩化物泉とは塩化物泉の一種で、塩化物泉とは環境省療養泉として認める泉質の1つになります。塩化物泉は、いわゆる「熱の湯」。定義は、

<温泉水1キログラム中に含有成分が1グラム以上あり、陰イオンの主成分が塩素イオンの鉱泉>(『広辞苑』より引用)

とあります。「陰イオンの主成分が塩素イオン(塩化物イオン)」とはちょっと難しい言葉ですが、化学の時間で習ったイオンの話ですね。


例えば海王のお湯の主成分であるナトリウム原子や塩素原子は、+の電気を持った原子核と−の電気を持った電子が、普段は+−ゼロで釣り合って存在しています。ただ、ナトリウム原子は電子をほかに与えたがる、塩素原子は電子を他からもらいたがる特徴があります。

ナトリウムと塩素が化学的に結び付いた場合、ナトリウム原子は−の電気を持った電子を放出するため+に傾き(陽イオンになり)、塩素原子は−の電気を持った電子を受け取るため−に傾きます(陰イオンになる)。

筆者撮影

その知識を前提に海王の温泉を調べると、温泉水1kg(1,000mg)の中に、陰イオンの成分としては塩素イオン(塩化物イオン)が最も多く見つかるため、塩化物泉と定義されます。

さらにその塩化物泉の中には、陽イオンの成分としてナトリウムイオンが最も多く見つかるため、ナトリウム−塩化物泉と呼ばれるのです。

地中から湧出(ゆうしゅつ)する温水や鉱水1kg中に、含有成分が1g以上含まれていれば「温泉」と定義されるのですが、海王の場合は公式ホームページによると、1kg中に31.03gの成分が溶け込んでいます。

「温泉」(塩化物泉)の基準から見れば約31倍の数値ですから、海王の温泉水の「濃さ」がわかりますね。

環境省によれば、塩化物泉は、

<皮膚に塩分が付着するため、保湿効果・循環効果があります>(『あんしん・あんぜんな温泉利用のいろは』より引用)

との話。海王のお湯に入浴するといつまでも体がポカポカする理由は、まさにこの泉質と成分の「濃さ」が挙げられるのかもしれません。

翻訳家/ライター。1979年東京生まれ、埼玉育ち、富山県在住。成城大学文芸学部芸術学科卒。国内外の紙媒体、WEB媒体に日本語と英語で執筆する。 主な訳書に『クールジャパン一般常識』(クールジャパン講師会)。

濃さ、約31倍。北陸ダントツ人気の日帰り天然温泉「海王」
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