人が芸術になる瞬間。「メルセ祭り」で限界を超えた美しさを見てきた
サグラダ・ファミリアを筆頭に、カサ・ミラ、カタルーニャ音楽堂にサン・パウ病院とたくさんの世界遺産を抱き、洗練された芸術都市のイメージがある、スペイン第2の都市・バルセロナ。スペインと言えばバルセロナというくらい、観光客に人気のある都市です。
スペイン・カタルーニャ州の州都であり、160万人以上の人が住むこのバルセロナで一年に一度行われる一大イベントが“Fiesta de Merce”(メルセ祭り)です。地元の人たちの結束を目撃することのできるこのお祭りを見れば、バルセロナのいつもと違う一面に気づけます。
それではさっそく、バルセロナの伝統行事、メルセ祭りについてご紹介します。
人間が積み上がる「メルセ祭」
日本では、高い“Castelles”(人間の塔)が注目を集めるメルセ祭ですが、その発祥はとても古く、220年以上の歴史を持っています。カタルーニャ地方の守護聖人である聖女メルセを称える大切なお祭りで、その聖女メルセの祝日である9月24日を含んだ前後4、5日間に開催されます。
お祭りの日が近づくとバルセロナ市内のいたるところにメルセ祭のポスターが張られ、人々はその日を心待ちにし、どこかうきうきした雰囲気が流れます。一年に一度のこのお祭りをバルセロナ市民はとても楽しみにしていることが感じられますよ。
メインイベントは「人間の塔」
メルセ祭でも披露される「人間の塔」は、バルセロナだけではなくカタルーニャ州の伝統行事でもあります。地域の人々が大人も子どもも協力して作り上げる「人間の塔」、元々は収穫を祝う踊りでしたが、いつしか高さを競うものへと変化し、地域ごとにチームが作られるようになったそうです。
メルセ祭期間はバルセロナ旧市街にあるゴシック地区、その中心のサン・ジャウマ広場にて人間の塔が作られます。広場の南側には市庁舎が建っており、バルセロナ市長もここから見学されるようですね。人間が協力しあい、高く高く伸びていく様は、芸術といっていいほど。
当日はたくさんの人が集まってサン・ジャウマ広場はぎゅうぎゅうの状態になります。しかし、人間の塔は想像以上に高く作られるので、無理に近づかなくても十分見ることが出来ますよ。いくつかのチームに別れて行われるため、断続的に見学することができます。
なお、スペインのお祭りはどれもそうですが、人の集まるところに出かける際は持ち物に注意しましょう。おすすめはバッグを持たず、クレジットカードなどもホテルのセキュリティボックスに預けてその時々に必要な現金のみを持ち歩くことです。