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年間80万人が殺到。「恐竜王国」福井に世界三大恐竜博物館の1つがある理由

坂本 正敬
坂本 正敬
2019/01/24

日本のどこでも、町おこしのためにある種の情報が、言い方は悪いですが少し「大げさに」利用されていますよね?北陸にある福井県が「恐竜王国」と名乗っている姿を初めて見たときも、何かの小さな発見を「大々的に」アピールしているのではないかと、勝手に決めつけていました。

しかし、子どもに恐竜の絵本を読んでいるとき、その考えがいかに無知に基づく勝手な誤解だったのかと気づかされ、少し恥ずかしくなった覚えがあります。福井は文字通り、日本の恐竜王国なのです。

そこで今回は、恐竜王国として日本の中で福井がいかに突出した存在なのかを紹介したいと思います。もちろん、恐竜王国を感じられる身近な観光地も紹介しますので、子どもを連れて恐竜を楽しみに出かける旅の形も素敵かもしれませんよ。

福井には年間80万人、累計900万人が訪れる恐竜博物館がある

福井駅前 image by 福井県観光連盟

福井県は今、北陸新幹線の延伸を控えて大忙しです。東京方面から見ると北陸新幹線は長野、富山を通過し、石川県の県庁所在地である金沢市まで開通していますが、2022年に福井県まで延伸され、県庁所在地の福井市を経て一気に敦賀まで延びる予定です。

福井がいかに恐竜王国として突出した存在なのかを知りたければ、まず福井駅前に行くと分かりやすいです。県内最大のターミナルである福井駅はモダンな駅舎の外壁に巨大な恐竜のイラストが描かれ、ロータリーには恐竜の巨大なモニュメントが設置されています。駅舎には「DINOSAUR KINGDOM」の文字も。

もちろん駅舎誕生以前から、同県の勝山市には恐竜王国の代名詞とも言える福井県立恐竜博物館も存在していました。年間で80万人、2000年7月の開館以来、2018年1月で累計900万人が訪れる観光名所。今は第2恐竜博物館の建設計画も進んでおり、既存館の隣接地など、候補場所の選定が行われている最中です。

2018年度には福井県立大学大学院に、恐竜をメインに学ぶ古生物学コースが設けられました。こうした情報を並べるだけでも、いかに福井が恐竜を県のアイデンティティの1つに据えているか分かりますよね?では、そもそも福井はどうして、これほどに恐竜に力を入れているのでしょうか。

1982年のワニ類の化石発見が福井を恐竜王国にするスタートだった

恐竜博物館の展示 image by: 福井県観光連盟

福井が恐竜王国への道を歩み始めるきっかけは、1982年にまでさかのぼります。恐竜博物館の公式ホームページによると、同館がある勝山市内の杉山川左岸で、中生代白亜紀前期のワニ類化石が発掘されます。中生代だとか白亜紀などという言葉は「習った記憶があるけど、忘れてしまった」という人がほとんどのはず。中生代は地質年代の1つでしたね。

生物が爆発的に誕生した時期(5.4憶年前)がカンブリア紀(カンブリア爆発)で、そのカンブリア紀前後で先カンブリア紀と古生代が分かれます。古生代の後は、中生代、新生代と続き、現代に至ります。


先ほどの中生代とは、現在を含む新生代の1つ前の年代。2.5億年前から6500万年前になります。2億年近く続く中生代はさらに細かく分類がされていて、古い方から三畳紀、ジュラ紀、白亜紀となっています。その白亜紀前期のワニ類化石が福井で1982年に見つかったのですね。

福井では今までに5種の新種恐竜化石が発見される

恐竜博物館内にある化石のクリーニング室 image by: 福井県観光連盟

発見のポイントは白亜紀。恐竜は、

<中生代の三畳紀に出現、白亜紀末まで生息した>(『広辞苑』より引用)

とあるように、白亜紀を含んだ中生代は恐竜の時代になります。当時の日本国内における恐竜化石の発掘状況を『福井県立恐竜博物館 展示解説書』とヒサクニヒコ著『日本の恐竜』(ハッピーオウル社)を基に振り返ると、1979年に「日本で初めて」岩手県岩泉町で竜脚類の前足の大たい骨が発見されたばかり。それ以前は1934年に、当時日本領だったサハリン(樺太)南部の炭鉱で草食恐竜のほぼ全身の骨(学名はニッポノサウルス)が見つかっていただけでした。

他には1981年に群馬県中里村で獣脚類の背骨が発見され、1982年には勝山と県境を共にする石川県白山市(当時は白峰村)の桑島という場所でも、中学生が恐竜の歯の化石を偶然見つけています。しばらくは世間に知られないままでしたが、そのいとこが3年後の夏休みの研究に「変わった石」を出品して、大発見が明るみになりました。同年の1985年には研究者が桑島の現場へ急行し、もう1本の恐竜の歯と足跡を見つけます。

桑島と福井の勝山は目と鼻の先。恐竜の生きた時代の地層から恐竜の化石が実際に出てきたという事実を踏まえ、白亜紀前期のワニ類化石を見つけていた福井でも、いよいよ恐竜化石発掘の機運が高まっていくのですね。

恐竜博物館の展示 image by: 福井県観光連盟

そこで当時の福井県立博物館(恐竜博物館は後に博物館から分離)が、動き始めます。予備調査を行ってみると肉食恐竜の化石が見つかり、1989年から10年間に第1次、第2次恐竜化石調査事業が展開されると、次々と成果があがりました。なんと現在に至るまでに福井では5種の新種恐竜化石が発見されているのですね。5つとは、

  • フクイラプトル・キタダニエンシス
  • フクイサウルス・テトリエンシス
  • フクイティタン・ニッポネンシス
  • コシサウルス・カツヤマ
  • フクイベナートル・パラドクサス

になります。国内で見つかった恐竜化石で新種として学名がついている恐竜は7種。そのうちの5種が福井で見つかっていると言いますですから、福井が恐竜王国を自認する理由にも納得がいきますよね。福井の恐竜化石と発掘現場は、2017年に国の天然記念物にも指定されています。

翻訳家/ライター。1979年東京生まれ、埼玉育ち、富山県在住。成城大学文芸学部芸術学科卒。国内外の紙媒体、WEB媒体に日本語と英語で執筆する。 主な訳書に『クールジャパン一般常識』(クールジャパン講師会)。

年間80万人が殺到。「恐竜王国」福井に世界三大恐竜博物館の1つがある理由
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