宇宙人が現れるまち?本物の宇宙船がある石川県「コスモアイル羽咋」
石川県の能登半島に「宇宙の町」、あるいは「UFO神話の町」と呼ばれる自治体があることをご存じでしょうか?
江戸時代から未確認飛行物体の目撃例があったとされる場所で、実物の宇宙船などをいくつも展示し、根強い人気を誇る博物館もあります。そこで今回は石川県の能登半島にある「宇宙科学博物館コスモアイル羽咋」を紹介したいと思います。
NASAや旧ソビエト連邦から借り入れた実物の宇宙船を展示
数年前に能登半島の羽咋(はくい)市にある有名な宿泊施設を取材したとき、同市にはUFO神話があると、筆者は初めて知りました。実際に手元にある昭文社の地図を今開いても、「UFO神話の町」と書かれています。
この羽咋に伝わる古い話には、麦わら帽子のような形をした怪火についての伝承があり、
<羽咋市の正覚院というお寺に伝わる『気多古縁起』と言う古い巻物の中には、神力自在に飛ぶ物体が登場>(コスモアイル羽咋のホームページより引用)
する記述もあるのだとか。
中立な記述を心がければ、「単なる町おこしでしょ」という無理やり感は正直に言って、若干あるような気もします。
現に同博物館が誕生した経緯は、いわゆる「スーパー公務員」としてドラマ化もされた、元羽咋市公務員(現在は定年退職)の高野誠鮮さんが、観光客を呼び込む仕掛けづくりとして、先の古文書の記録などに注目したところから始まっています。
最初は羽咋ミステリークラブを作り、地元飲食店にUFO関連のメニュー製作を依頼したり、シンポジウムを開催したりして機運を高め、最終的には1996年に上述の博物館オープンにこぎつけています。つまり、意図的に町おこしの題材として、未確認飛行物体を利用したのですね。
しかし、同博物館のすごみは、その実現の仕方にあります。博物館設立に際してオカルト的な方向に流れるのではなく、未確認飛行物体が飛来してくる宇宙をテーマに取り上げ、実物の宇宙船や予備機、試作機をNASAや旧ソビエト連邦から借り受けるなどして、惜しげもなく展示しています。
羽咋市という全国的には「無名」にも近い人口約2万2千人の自治体にある小規模館に、全く似つかわしくない迫力の宇宙船やロケットが展示されているというギャップが、マニアを中心とした来館者を大いに喜ばせているのですね。