“頼子”も待つ竜宮城へ。神秘的な海中世界、千葉県「波左間海中公園」

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2019/07/03

幻想的なウミエラの群生

条件が揃えば、ヤナギウミエラの群生が広がる砂地の海底

曇りや雨の日は、海底も薄暗くなり、気分も落ち込みがちですが、普段見られない生物出会えるチャンスになることもあります。

ウミエラは、刺胞動物に属するトゲトサカなどソフトコーラルの仲間です。昼間は砂地に潜り込み、夜間に姿を現して、羽根を広げプランクトンなどを捉えて食べます。昼間見られるのは、日差しがなく、潮が速いという条件がそろったときだけ。

英語名はSea Pen。昔の羽根ペンに似ていることから名付けられた

砂地から鳥の羽根を広げたようなウミエラが何百本も林立しする光景はとても幻想的です。これほど大きな群生は、全国的に珍しいといわれています。

沈没船探検気分が味わえる巨大人工漁礁

一辺2.5mの枠型のコンクリートを4段積み重ねた巨大な人工漁礁

いつでも神秘的な光景を楽しみたいなら「ドリーム」ポイントがオススメです。同所は、コンクリートブロックを積み上げた巨大な人工漁礁です。周辺を大型のコブダイがゆうゆうと泳ぎ回り、ブロックの隙間からウツボが顔を覗かせます。

色鮮やかなソフトコーラルがついた神秘的な漁礁の内部

薄暗い内部にライトを当てると、大きく成長したソフトコーラルがいたるところに付着している神秘的な光景が浮かび上がります。その隙間を通り抜ける魚たちを追いかけて、深く内部に入っていくと、まるで沈没船のなかを探検するような気分が味わえます。

ダイバーの憧れ、マンボウと泳ぐ

保護され、元気の泳ぐマンボウ

波左間海中公園は、混獲されたさまざまな魚を保護しています。なかでも、最も有名なのがマンボウでしょう。「マンボウランド」という生け簀のなかで養生させ、元気になったら海に戻してあげるのです。

混獲されたマンボウの保護飼育のため、常駐しているわけではありませんが、その間はマンボウと一緒にダイビングを楽しむことが可能です。

マンボウは外洋性のため、なかなか出会うチャンスがないのですが、巨体に反してとぼけたような表情が人気で、ダイバー憧れの海洋生物のひとつです。

ちなみに、マンボウという名前は外国語っぽいですが日本語です。円坊鮫、あるいは、方形であることから「萬方」に由来するなど諸説ありますが、その形から名付けられたようですね。


明るい海面近くを泳ぐマンボウ。英語名のsunfishがよく似合う

学名はMola molaで、molaはラテン語で石臼こと。やはりその形から名付けられています。そして英語名はSunfish。海面に横倒しでプカリと浮かびながら日光浴するからだそうです。

おそらく世界一有名なコブダイ・頼子と、世界で唯一の海底神社がそろう、世界でも珍しい光景が楽しめる「波左間海中公園」。運が良ければマンボウにも出会えたりと、貴重な体験が待っていますよ。長時間のダイビングで体が冷えてきたら、無理せず浮上して、マンボウのように日光浴を楽しんでくださいね。

  • 波左間海中公園
  • 千葉県館山市波左間1012
  • 0470-29-1648
  • 公式サイト
  • image by:大谷徳幸
  • ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。
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水中写真家/ドローンパイロット/ライター。1957年大阪生まれ、三重県在住。紙媒体退職後、スキューバ・ダイビング関連の情報を中心にFacebookやBlogで海外向けに発信中。

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