同一の県で受賞ラッシュ。水が美味しい「水道王国」はどこ?

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2019/09/14

モンドセレクションで「老舗」のとやまの水

image by Masayoshi Sakamoto(坂本正敬)

先ほど挙げた4つの自治体の水のなかでも、特に注目すべきは、「とやまの水(富山市)」と、「うおづのうまい水(魚津市)」です。

とやまの水は冒頭でも紹介した大阪市の水道水「ほんまや」(※現在は生産中止)に影響を受けてモンドセレクションに出品した経緯があります。

2012年度に金賞を獲得して以来、現在までに7年連続で受賞。しかもそのうち最高金賞は4回。ほんまやが販売を終えている現在、もはやモンドセレクションを受賞する水道水の「老舗」ともいえますね。

モンドセレクションでは10年連続で受賞した出品者には、クリスタル・プレステージ・トロフィーという特別な称号が与えられます。

富山市では北アルプスの雪解け水が流れ込む常願寺川の水を、大きな集落や工場がない場所で浄水所に引き込んで、安定して美味しい水を供給しています。

その美味しさはなかなか変わらないはずなので、10年連続受賞を節目に、富山市は今後も出品を続けると考えられますね。

  • とやまの水(100mlあたり)
  • ナトリウム・・・0.32mg
  • カルシウム・・・1.09mg
  • マグネシウム・・・0.13mg
  • カリウム・・・0.07mg
  • 硬度・・・32.6mg/l(軟水)

うおづのうまい水は地下水が水源の「日本一おいしい」水

魚津駅前にある水飲み場の水。魚津市民が水道水として飲む水も同じ。image by:坂本正敬

また、うおづのうまい水も、2017年の初出品&最高金賞を皮切りに3年連続で最高金賞を獲得しています。ちなみに、魚津の水道水は地下水を原水としています。

県東部の扇状地にある魚津には富山7大河川のひとつ、片貝川が流れていて、その流域にある深井戸の地下水を利用しているのです。

<大腸菌などの細菌類による汚染も見られない、非常に良好な深井戸の水源です>(魚津市のホームページより引用)

この土地の水に関しては、慶應義塾大学の教授を定年退職し、洗足学園魚津短大でも文科主任教授を務めた国文学者である故池田彌三郎さんが「日本一おいしい」と語った歴史があります。


その池田さんの意思を受けて、魚津駅前に『駅前うまい水』という水飲み場も設けられているほど。

写真を撮るために水飲み場に立ち寄ってみると、地元の高齢者たちが足を止め、水飲み場のコップを使って愛飲している姿が見られます。

真夏でも水流に手を入れれば冷たく、地元の観光案内所の方は「ここで泳げれば最高なんですけどね」と笑っていました。

とやまの水に関しても、北陸新幹線の停車駅である富山駅構内に水飲み場が設けられています。

富山旅行では、富山県民が日常的に味わっている水道水を、旅の合間に口にしてみてください。「水道水がこんなにおいしいの?」ときっと、うらやましくなるはずですよ。

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翻訳家・ライター・編集者。成城大学文芸学部芸術学科卒。富山在住。主な訳書『クールジャパン一般常識』、新著(共著)『いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日』。北陸のWebメディア『HOKUROKU』創刊編集長。WebsiteTwitter 

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