飯尾醸造の米作りから始める究極のお酢をご存知ですか?@京都府宮津市

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2020/03/04

酢造りは蔵人による日本酒造りから

酢造りは酒造りから

そして日本酒造りにとりかかります。そう、酢は米ではなく日本酒と水に酢酸菌をくわえ、発酵させて造るのです。「うちでは麹造りから始めます。自家製の麹を使い、自分のところの酒蔵で日本酒を作っている醸造所はうちぐらいですね」。

飯尾醸造でも日本酒蔵と同じく、杜氏と蔵人が泊まり込み1カ月かけて麹を作り、100日かけて日本酒を仕込みます。「この日本酒は酢になるので、うちの杜氏は誰からも飲んでもらえない日本酒を作っているんですよ」。この時点で、まだ工程の半分ほど。飯尾醸造のお酢は気の遠くなるぐらい時間がかかっているんですね。

酢酸菌膜を投入して2〜3日後には菌膜が表面を覆い、酢酸発酵が始まります。

さて、できあがった日本酒に水と種酢(自社の米酢)をくわえ、40度に温め酢酸菌の菌膜を投入。ここからやっと発酵がスタートします。

温度管理やタンクの移し替えなどをしながら、100~200日かけてゆっくりとアルコールを酢に変えていくのです。これは昔ながらの「静置発酵」と呼ばれる製法。「今は全面発酵をするところが99%、静置発酵をやっている蔵はほとんどないと思います」。

熟成用のタンク。ここで熟成させ、美味しいお酢が生まれます。

そこから、さらに250~300日かけて熟成させるのです。ということは苗造から考えると、トータル3年弱かかるということですか!! 気が遠くなります…。ちなみに大手メーカーだとお米もアルコールも購入し、熟成方法も異なるので2週間でできちゃうんですって。

飯尾さんが開発した、香り良く穏やかな酸味の「富士酢プレミアム」

非常に手間がかかりますが「品質を落とすことはしたくないですね」。かといって、伝統や昔ながらの作業に固執しているわけではありません。

瓶詰などは衛生面も考えてオートメーション化するなど、「あと10年、20年歳をとっても作業できるように、楽に仕事がきるように“体に汗かくのではなく頭に汗をかく” 努力をしています」。良い品をずっと安定して提供できることも大切なことですね。

ところでなぜ、飯尾醸造では米を大切にしているのか。もちろん酢は日本酒から作るので、お米が大切なのは分かりますが問題は使用量。JAS企画では酢1リットルに対し40gの米を使うと、「米酢」という表示ができます。しかし飯尾醸造の「純米富士酢」では200g、さらに5代目が考案した「富士酢プレミアム」では320gのお米が使われるのだそうです。

なるほど! こんなにもお米が入っているのでうま味とコクが深いんですね。「ですから料理をするとき、塩や砂糖の量を減らすことができ、結果、素材の味を活かすことができるのだと思います」。


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