絶対に見破れない。世界一のマジシャンが魅せる名作文学を題材にしたマジック
「名作文学を題材にしたマジック」を体験
感染予防対策を万全に講じながらお店は現在も営業しています。安全と3密に注意しながら特別にお願いした今回の取材では、クロースアップ・マジックを披露してもらいました。
目の前で実演してもらったマジックは、ヤマギシさんが力を入れている「名作文学を題材にしたマジック」です。
マジック用のマットがカウンターテーブルに広げられ、何千枚もあるというヤマギシさんのレコード・CDコレクションからBGMが選曲されます。
ジャズ好きの両親に育てられたヤマギシさんは、史上最高のトランぺッターのひとりであるルイ・アームストロングから命名されたのだとか。そうしたエピソードトークもマジックの演出にはどこかプラスに働いていました。
本棚から名作文学が一冊手に取られ、一そろいのトランプが箱から出されます。徹底して訓練を重ねたプロにかかれば、箱からカードを取り出す何気ない動作も美しく色気があるから不思議ですよね。
一般的にマジックを生で見る機会といえば、マジックが趣味の友人に隠し芸的に披露してもらう場面がほとんどではないでしょうか。見ている側もその場合は楽しみながら、一方で「トリックを見破ってやろう!」と挑戦的な構えがあると思います。
しかし、ヤマギシさんを前にすると、その手の考えが起きません。カードのシャッフルからすでにエンターテインメントが始まっていて、紙のカードが重なり合う音の心地良さに気が付けばうっとりとさせられていました。
名作文学の物語とともにマジックは進みます。見ている側の筆者の意識は次第に遠くへと運ばれていきました。見事なエンディングを迎えた後に余韻に浸っていると、「この感覚は何かに似ている」と思いました。
大げさにいえば、歌劇を歌い上げる歌手の奇跡的な歌声をコンサートホールで聞いた瞬間だとか、夜の野外劇場でたいまつの火を頼りにシェイクスピアの悲劇を眺めた時間だとか。
上質のライブパフォーマンスが時に観客を現実から遠くへと連れ出してくれるあの心地良い感覚です。
ちょっと小賢しい文章を引用すれば、
<いまあるところから出てよそに身をおくこと、あるいは、いまの状態(意識)を脱してべつの状態(意識)になること>(淺沼圭司『ゼロからの美学』(勁草出版)より引用)
を体験できたのですね。
新型コロナウイルス感染症の影響で、ライブパフォーマンスから遠ざかる暮らしを多くの人が強いられています。しかし、オンライン配信などでは到底到達できない、生の体験にしかない楽しみが世の中にあると、ヤマギシさんのパフォーマンスを目の前にしてあらためて感じました。
自由に旅が楽しめる時代に戻って金沢を訪れた際には、カフェタイムやバータイムに日本一のマジックを体験してみてはいかがでしょうか。定番の観光コースめぐりに、きっと思いがけない奥行きと変化がプラスされるはずですよ。
- マジックカフェ&バーBELIEVE
- 石川県金沢市本町2-1-20 金城ビル1階
- 076-221-0882
- 休日:月曜・不定休
- 【バー】20:00~24:00(火~土)【カフェ】14:00~17:00(土日祝)※予約推奨
- 公式instagram
- 最新の情報は公式instagramでご確認ください。
- image by:山本哲郎、坂本正敬、マジックカフェ&バーBELIEVE
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