マスター、いつもの。地元民も外国人も通いつめる「和酒BAR縁がわ」

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2019/10/30

旅先で土地の日本酒を楽しむ時間は、とてもぜいたくですよね。酒米こそ他の産地の生産物を使っているかもしれませんが、土地の水を使い、土地の気候の中で職人が真心を込めて作った「清酒」は、旅先の風土を五感で感じるとてもいい機会になります。

そこで今回は、石川県を代表する加賀温泉郷のひとつ、山中温泉で国内外から多くの方が訪れる「和酒 BAR 縁がわ」を紹介します。

2013年に取得した利き酒師の上位資格である「酒匠(さかしょう)」の経歴を持ちながら、9席の店内で地元の方や外国人を楽しませる下木雄介さんのお店です。金沢を中心に石川県に旅行する予定のある人は、ぜひともチェックしてみてください。

山中温泉のメインストリートにある和酒バー

image by:Masayoshi Sakamoto(坂本正敬)

そもそも加賀温泉郷の「山中温泉」とは、どこにあるのでしょうか?山中温泉と似た名前で「山代温泉」という名湯が、同じ石川県西部の加賀市にあります。しかも山中と山代は、片山津温泉や粟津温泉と一緒に加賀温泉郷と呼ばれていますから、なおさら混乱しますよね。

山中温泉源泉image by:photoAC

山中温泉は加賀温泉郷のなかでも、文字通り山の中にある温泉街になります。大聖寺川という二級河川の中流にあたる黒谷川渓谷沿いに発達した名湯で、景勝地としては温泉街にある「鶴仙渓(かくせんけい)」という渓谷が有名です。

ひき物のおわんを朱色やベンガラ色に塗った山中漆器(山中塗)のギャラリーも目抜き通り沿いに並んでいますから、漆器の産地として知っている人も少なくないかもしれませんね。

長谷部神社image by:Masayoshi Sakamoto(坂本正敬)

そのメインストリート(南町ゆげ街道)から、長谷部神社の方に少し入った場所の一角にあるお店が、「和酒 BAR 縁がわ」になります。

母親は泣いて開業を反対する

image by:Masayoshi Sakamoto(坂本正敬)

バーといえば、洋酒を扱っているイメージがあります。しかし、そのイメージと逆行する名店が、まさに「和酒 BAR 縁がわ」。ただ「bar」とは、もともと長い木の板や台、棒を意味する言葉で、カウンターバーのあるすし屋も英語で「sushi bar」と呼ばれていますから、考えてみれば不思議でもなんでもありません。

出店の経緯を聞くと、そもそもオーナーの下木雄介さんは東京にあるオーセンティックバーで、カクテルづくりの修行をしていたそう。しかし、自分の納得がいくカクテルを作れず、悩む日々が続いたと言います。


その理由を突き詰めて考えるうちに、カクテルではなく日本酒が好きだという自分の気持ちに気がつき、オーセンティックバーのマスターに相談して、バーでの修行を切り上げたのだとか。

その後は、地元の山代温泉(山中ではなく) で日本のお酒を提供するバーを開業しようと決意したと教えてくれました。

当初は地元の友人や飲食店に「無理だ」と非難され、実の母親にも泣いて反対されたといいます。しかし、山中温泉にある酒屋のオーナーだけが「おもしろい」とコンセプトを理解してくれたため、山中で出店を決めたそう。

場所は出店に理解を示してくれた酒屋のオーナーが所有していた古民家で、友人の大工と一緒にリノベーションをしてバーに作り替えます。日本酒だけでなく焼酎に関する資格も保有している下木さんは、クラフトビールを含めた日本の各種のお酒をメニューに加え、2014年に開業を果たしました。

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