マスター、いつもの。地元民も外国人も通いつめる「和酒BAR縁がわ」
バーカウンターに入った瞬間、柔和な表情が引き締まる
日本酒に向き合う下木さんの姿勢には、ある種の「迫力」があります。普段は笑いじわの印象的な物腰の柔らかい人で、恐らく雨の日に子犬がぬれて道端に捨てられていたら、放ってはおけないタイプのはず。
しかし、1日の業務の始まりに欠かさず行っている日本酒のテイスティング作業で、バーカウンターに入った瞬間、「寄らば、切らん」という鬼気迫る雰囲気が全身にみなぎり始めます。
日本酒は開封した瞬間、香味の変化が始まるため、 お店に仕入れる日本酒は小ぶりな4合瓶(720ml)を主にしています。開封後は毎日香味の変化を確認し、どのような酒器で、どのような温度で提供するかを考えるのだとか。そのお酒と向き合う真剣勝負の瞬間、下木さんにスイッチが入るのかもしれませんね。
日本酒は生産者が近く直接電話もできる
同店で出される日本酒は、石川県の銘柄が基本になります。そもそも下木さんが日本酒をバーで出そうと思ったきっかけは、作り手との近さが最大の要因だったのだとか。
海外のウイスキーやワインの場合、生産者との距離が物理的に遠すぎて、気軽に蒸留所に出かけられない、英語で問い合わせが出来ないというハードルを感じていたそう。
しかし日本酒の場合は生産者がすぐそばにあって、その気になれば醸造所に足を運べる上に、疑問点が浮かべば、すぐに醸造所に問い合わせられます。
詳細は公開できないものの、下木さんは「酒蔵メモ」を独自に作成・更新していて、原料について、人について、道具について、かなり詳細に各酒蔵を研究しています。その研究を踏まえ、訪れた人の好み、さらにはその日の気候や天気などを考慮して、お酒を提供しているのですね。
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