「受験は神頼みじゃあかんねん!」疲弊した私が母と交わしたあの日の言葉
母はひとり、娘の合格を願って北野天満宮へ
あんなに酷い言葉を放ったのに、母はひとりで北野天満宮へ行って、合格祈願をしてきてくれました。「お守りに」と私に渡してくれたのは、五角形の学業鉛筆。そして有名な阿闍梨餅(あじゃりもち)も一緒に。
いま私自身は“母”という立場にいないから、単純にわからないだけかもしれません。でも、娘にこんな冷たい言葉をかけられて、それでもその娘を思って、奈良から京都へ寒い中、お参りに行けるものなのでしょうか。娘ながら、母は偉大だな、と思ってしまいます。
…いまだからこんな風に感謝することができるのですが、当時はもう全然ダメ。とにかく迫りくる「不合格」という恐怖に立ち向かうことで必死で、「ありがとう」もちゃんと言えたのか覚えていません。
母の思いやりは、至るところにあふれていました。家のお菓子箱の中は、気づけばスナック菓子の合格祈願デザインのものでいっぱいになっていたのです。
それにさえも、ちょっとイラついていたんですよね。せっかく買ってくれたお菓子を母に突き返して、言い放ちました。
「いらん。こんなん食べただけで合格できるんやったら、一日これだけ食べとくわ」
もう本当に、いっぱいいっぱいだったんでしょうね、17歳の私は。それに対しても母は、怒ることもなく「そっか」と言うだけ。本当に偉大です。
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