老舗手ぬぐい屋「永楽屋」の歴史とアートが集結!細辻伊兵衛美術館へ行ってきました
京都市中心部、地下鉄烏丸御池駅にほど近いエリアに、2022年4月にオープンした細辻伊兵衛(ほそつじいへえ)美術館。手ぬぐいで知られる日本最古の綿布商「永楽屋」の当主名「細辻伊兵衛」を冠した美術館とは、一体どんな美術館なのでしょう? KYOTO SIDEがレポートします!
・基本的な感染予防対策(マスクの着用・手洗い・身体的距離の確保など)を徹底してください
・屋外の活動も慎重にしてください
・発熱等の症状(発熱、咳、のどの痛み、息苦しさなどの症状)がある場合は、外出を控えてください
400年以上の歴史を誇る綿布商「永楽屋」十四世が造った美術館
今回訪れた細辻伊兵衛美術館は、元和(げんな)元年(西暦1615年)創業の老舗手ぬぐい屋「永楽屋」のミュージアム&ショップスペースとして今年4月に誕生しました。
太陽の光が反射するこちらの外壁は、雨風による経年変化を楽しめるようにと銅板が使われています。しかも、神社仏閣などの屋根に見られる伝統的な工法「銅板一文字葺」で仕上げられているんだとか。
また、玄関左脇にある文様のようなものは、ここの美術館名のデザイン。実にユニークですよね〜。ここが細辻伊兵衛美術館と知らなければ、判読できないであろう字体。入り口からして既にまさに伝統とアートの融合です。
「永楽屋」は、創業当時は手ぬぐいだけでなく木綿全般を扱っていた綿布商として、三条に大きな店舗を構えていたという老舗中の老舗です。400年に渡って、京都で手ぬぐいや風呂敷の製造販売に携わってきました。
4月15日に開催された細辻伊兵衛美術館オープニングセレモニーでは、勢いよく手ぬぐいを切り裂く、テープカットならぬ手ぬぐいカットが行われたそう。
麻布を切り裂くという厄払いの意味をもつ神事になぞらえたものですが、そのユニークさとオリジナリティからも、現当主の伝統を重んじながらの遊び心がうかがえます。
14代目細辻伊兵衛が魅せる世界
美術館の案内人として、颯爽と現れたのが永楽屋14代目当主・細辻伊兵衛氏です。
この只者ならぬ風貌からして、幼いころからさぞかしアートやクリエイティブな英才教育を受けられていたのかと思いきや、実は婿養子なのだそう。
学生時代は卓球に没頭しインターハイ出場、その後も卓球のスポーツ推薦でトヨタグループへ入社という、ある意味アートとは真逆の世界にいたそうです。
ファッションに興味があったことから1985年にアパレル業界へ転身。病を機に、当時交際していた永楽屋12世当主の長女と結婚され、婿養子として永楽屋を継ぐことになりました。
当時は手ぬぐいよりもアート色の薄いタオルに注力していた永楽屋を、今のアート色豊かなスタイルへ転換させたのが、こちらの14代目というわけです。ちなみに、細辻伊兵衛という名は本名で、戸籍も変えられたのだとか。お友達や周りの方からは「伊兵衛」「伊兵衛さん」と呼ばれているそうですよ。
ではでは、お待ちかねの永楽屋の歴史と伝統が詰まった美術館の中へと参りましょう!エントランスをくぐると、正面にショップスペース、正面右手に1Fミュージアムスペースがあります。
エントランスから暗闇に浮かび上がるアートな手ぬぐいの世界が実に印象的です。ミュージアムスペースの入り口にあえて角度をつけ、エントランスからもその空間が見えるようにと、計算されたデザインになっています。
世界初!手ぬぐいの入場チケット
細辻伊兵衛美術館のユニークさの象徴とも言えるのが、こちらの入場チケット。そうです!なんと手ぬぐいなんです‼︎
美術館のロゴがデザインされたアート作品であり、もちろん手ぬぐいとしても利用できるのでSDGsの観点もあり、まさに世界初の試み。
ちゃんとシリアルナンバーも入っているので記念にもなりますし、入館した際には、半券をもぎるかのように、手ぬぐいを引き裂くパフォーマンスも込み込みで楽しめるようになっています。
入り口横のミニモニターやQRコードを読み込むことで伊兵衛さんによるご挨拶の音声や動画を見ることができます。クラシカルとモダンの融合を見ることができるのも、こちらの美術館の面白いところ。
1Fミュージアムスペース前には、展示品の説明が記載されたリーフレットや館内パンフレットが設置されています。それを見ながら展示物を鑑賞するのがオススメですよ。