大田区民も実は知らない?池上本門寺「お会式」祭りを楽しむ雑学
万灯=お会式の魂、つまり宗祖の御霊
なんども繰り返しますが、12日の「万灯練り供養」は、万灯行列とも言われる池上本門寺のお会式の一大イベント。100を超える各地の万灯が池上に大集合し、池上本門寺に向かって町を練り歩きます。この日の池上周辺は夜中まで万灯の灯りとお題目、そして屋台から響くお祭りらしい掛け声が混ざり合います。この様子は古くから秋の風物詩として、安藤広重の浮世絵や、松尾芭蕉の俳句にも秋の季語として登場していたんだそうです。
「万灯練り供養」では、万灯を取り囲むように纏(まとい)、団扇太鼓(うちわだいこ)、鉦(かね)、笛をもった万灯講中が集まります。お会式で使われる万灯は他の行事とは違い、五重塔をかたどったものが多く、全国各地から集まるためその模様もさまざま。地名を書いた提灯見ていると「こんなところからきているの!?」と驚くほど、遠くからきている万灯もあります。さらに、知ってから見るととさらに面白いのが纏や団扇太鼓が持つ役割です。
【万灯】
万灯とは「お会式の魂」「日蓮聖人の御霊」と言われています。組み上げられた五重塔の頂上からしだれざくらのように和紙で折った花が垂れ下がり、華やかに輝く五重塔に照らされてとても艶美。日蓮聖人が御入滅されたとき、10月であるのに桜の花が咲いたという伝えから飾られるようになったのだとか。偶然にも揺れが激しい手持ち万灯の花に触れられたのですが、しっとりと柔らかい花びらでした。
【纏】
「万灯練り供養」でひときわ激しいのが、纏を持った力強い踊り。江戸時代に団扇を叩きお題目を唱えて行進していくのを見た職人たちがハッピ姿に纏を担いで参加したのが始まりと言われていて、日蓮聖人の力強い決意を表現しています。各地域によって少しづつ踊りが違うのにも注目です。
【団扇太鼓】
地に響くように激しく奏でられる太鼓の音は、「一天四海皆帰妙法」(世界全体を仏さまの教えで救い尽くす)という平和実現のために精進する心意気を示しています。
【鉦】
鉦には「魔よけ」という意味がこめられていると言われています。このことから自分のに潜む「心の魔」に打ち勝つ決意をする意味でお会式に鉦が取り入れられました。
【笛】
人の心を和ませる楽器として用いられていた笛。その透き通った笛の音のように、仏さまの教えが人々の心に響き、伝わっていくようにという願いでお会式に取り入れられたと言います。
お会式「万灯練り供養」を楽しむコツ
ここからは、2015年に池上本門寺のお会式を訪れた私が、来年2016年に向けて「万灯練り供養」をより楽しむためのコツを伝授!
まず、池上本門寺のお会式「万灯練り供養」の日は夕方4時頃から周辺に屋台が出て賑わっていますが、いかんせん夜中まで続く盛大なお祭り。しかもお目当ての万灯行列を堪能するまでは帰れません。
池上駅周辺の通りから万灯行列は見られますが、池上本門寺で見るなら是非17時半頃から場所取りをしておくのがおすすめです。立ち見にはなりますが、万灯に触れられそうな近さで見ることができますよ。午後8時くらいには既にヘトヘトなので、帰りのラッシュに巻き込まれる前に池上駅周辺の居酒屋でお祭りの雰囲気を眺めながら酒に浸るのがオススメです。
ただ、最も盛り上がるのは7時から9時頃にかけて、万灯行列の熱気がまちに充満した頃。お会式が始まる頃には池上本門寺へ続く96段の階段は半分が万灯行列用、半分が参拝者の通行用に規制されるため、本堂まで行くにはかなり時間がかかりますが、万灯行列の中に参加しているような気分にもなれます。
ちなみに今年も有志の方々が万灯練り供養の様子を、大堂前からUstreamにて生中継(ライブ中継)していました。どうしても見ることができないという方は、Ustreamで臨場感をちょっとおすそ分けしてもらうこともできますが、来年は是非実際に池上本門寺に訪れて、行列の息遣いや身体に響く太鼓の音を体感してみてください。
池上本門寺
住所:東京都大田区池上1丁目1 池上本門寺
お会式:毎年10月11日〜13日
万灯練り供養:10月12日18時頃〜23時頃まで