外国人観光客はビッグデータで取り込め。観光予報プラットフォーム、スタート
2016年11月1日、日本の観光業界に「新風」が巻き起こりました。それは、今まで「勘」に頼っていた観光業界を根本から覆す、全く新しいシステム「観光予報プラットフォーム」。ビッグデータを活用した科学的論拠に基づく「観光を予測する」システムです。
このシステムが本格的に運用されてから、早1年半。すでに、この新しいシステムを活用して、観光のさらなる発展に成功している地域が日本各地で続出しています。
一体、「観光予報プラットフォーム」とは何なのか?どんな風に活用できるのか?その驚くべき「予測」システムの内容や、具体的な活用例などに迫りたいと思います。
それは、科学的根拠に基づき観光を予測する新システム
「観光予報プラットフォーム」は、観光に特化したマーケティングツール。公益社団法人日本観光振興協会などの観光予報プラットフォーム推進協議会により開発・運用されているシステムです。旅行会社等が提供する膨大な宿泊予約・実績データをもとに、国内外の宿泊の予想を立てることができるなど、多様な機能を持っています。
2015年度に経済産業省が旅行関連情報や国内外の旅行者等の行動に関するデータを収集・集約し、データベースを構築する実証を開始したのが始まりです。その実証実験を経て、2016年11月1日に本格運用が開始されました。また、2018年4月からは、このフォームを活用した地域創生に向けた取り組みを加速するとして、観光予報プラットフォーム推進協議会に新たな企業が参画するなど、今後さらなる展開が期待されます。
「観光予報プラットフォーム」資料:https://kankouyohou.com/docs/kankouyohou_info.pdf
「観光予報プラットフォーム」は、ココが新しい!
ポイント1:約1億泊以上ものビッグデータを活用!
まず注目すべきなのは、旅行会社等から提供された約1億泊以上(2018年3月末現在)ものビッグデータを活用したマーケティングツールを提供している点です。日本全体の総宿泊数は約5億408万泊(観光庁宿泊旅行統計調査 2016年)ですから、国内総宿泊数のおよそ2割を占める巨大なデータを活用しており、それだけ精度も高いことが予想されます。
提供元は、店頭販売、国内ネット販売、海外向けサイトの販売、それぞれの販売を担う企業など様々です。これらからデータを収集し、宿泊実績や宿泊予約動向を推計し、情報提供を行っています。
ポイント2:宿泊や観光についてのコンテンツが豊富!
「観光予報プラットフォーム」では主に「観光予報」「観光資源」「地域のポテンシャル」の3つのカテゴリーの情報を入手できます。
- 観光予報
市区町村ごとの6か月先までの宿泊動向を見ることができる「観光予報」は、各地域の過去の予約実績と現在の宿泊予約状況など複数の情報から予測を立てています。さらに、「観光予報」が「観光実績」になったタイミングで誤差も公開していて「観光予報」の精度がどんどん上がっていくことも期待されています。
いつ、どこに観光客が多くなりそうなのか?そんな予測情報をいち早く入手できます。
- 観光実績
「観光実績」では、「集計」「分析」「ランキング」の3つの視点でデータを表示することができます。自治体やサービス事業者から要望の多かった見せ方にしているそうです。
例えば、「宿泊者属性情報」でターゲットを見極めたり、都道府県毎の「集客ランキング」で集客ポテンシャルや目標値を決めることができます。
また、有料ツールである「クロス分析機能」を利用することで、ターゲットを絞り込んだデータ統計値も入手できます。
- 地域のポテンシャル
「宿泊」「観光」のビッグデータを活用して、日本全国の地域における「観光資源(=地域のポテンシャル)」情報を入手することができます。
「観光資源」のコンテンツは、一般的な観光情報(観光スポット、飲食店、宿泊施設など)だけではなく、地域独自のイベントや漫画・映画の舞台といった旬の情報、訪日外国人のニーズに合わせた地域資源(免税店、フリーWi-Fi、外国カード対応ATMなど)を知ることができます。
1つ1つの観光資源を「点」から「面」に変えて「見える化」できるのはすごいです!
ポイント3:無料で最新の情報を入手できる!有料ツールを使えば更に高度な機能も
これだけの充実した機能を、なんと無料で利用できます。いつでも何処でも誰でも、気軽に利用を始めることができるのが嬉しいですね!「もっと細かいデータ分析を行いたい」など利用目的に沿った有料プランも選ぶことができます。
また、データは2週間に1回、約100万~300万泊を追加しているとか。「観光予報プラットフォーム」で提供される情報はいつでも最新に更新されています。
利用者からのよろこびの声
観光予報プラットフォーム推進協議会の事務局を務める公益社団法人日本観光振興協会に話を聞いたところ、利用者から様々なよろこびの声が寄せられているそうです。
これまで取得できなかった市町村毎のミクロのマーケティングデータが容易に把握できて、地域の観光戦略立案が可能となった。
宿泊者の属性を参考に、6か月先の宿泊予測データを基にイベント開催日を決定している。
インバウンド内訳数を参考にターゲット居住国を選定している。