地元の名物は、崖です。福井の新観光地「がけっぷちリゾート」探索
皆さんは福井県にある景勝地「東尋坊」の名前を聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。「断崖絶壁」「日本海の荒波」「自殺の名所」そして「火曜サスペンス劇場」!そんな声があがりそうです。
「火サス」のロケ地に使われ、犯人の自供シーンを想像させる東尋坊ですが、ナント、その絶景の「崖っぷち」が福井県がリリースした新しい観光ブランド名に起用されました。その名も「がけっぷちリゾート」。
これは2018年4月、福井県坂井市とあわら市が現地の観光資源をより活性させるために導入されたもの。日本有数の崖っぷちである東尋坊をはじめ、その周辺にある海沿い・湖畔・丘陵地帯にある観光スポットで構成されています。
それにしてもなぜこんな自虐的?な観光ブランド名がつけられたのでしょうか? 観光プロモーションであの手この手を尽くしすぎて自治体ももう本当に「崖っぷち」なのでしょうか?
今回、その辺の謎も探りつつ、このがけっぷちリゾートを巡るツアーに参加してきました。海辺にある観光スポットを「浜サイド」としてまとめ、歴史ある「あわら温泉」とともに紹介していきましょう。
なぜ「がけっぷちリゾート」という自虐PRをするのか
福井といえば確かに「東尋坊=崖」というイメージもありますが、なぜ「がけっぷちリゾート」というハラハラするようなネーミングをしたのか。
担当者に聞いてみると「確かに自虐PR?と言われることもありますが(笑)、“がけっぷち”という言葉は、周遊観光の軸になる『東尋坊』の魅力そのものが“崖っぷち“だからで、覚えてもらいやすいだろうという狙いがあります。
また、ひらがなにすることで、親しみやすい印象にしました。今後、『がけっぷちリゾート』の名のもと、地域がどのようになってゆくか楽しみです」とのこと。
なるほど、確かに一度聞くと忘れられないネーミングだし、そもそも崖があるだけで絶景にもなりうる観光資源なんですよね。そういうわけで早速、「がけっぷちリゾート」の魅力を味わうべく、まずは東尋坊周辺を回ってきました。
東尋坊サスペンスシーンの由来は平安時代だった
荒々しい巨大な岩が海から天に向かって突き出て、約1kmの絶景を作り出している「東尋坊」。輝石安山岩の柱状節理という珍しい奇岩群が見られるのは世界で3ヶ所だけだとか。その名前は平安時代に生きたお坊さん「東尋坊」の名前に由来します。嫌われ者だった彼は恋敵の僧から崖の上から突き落とされてしまいます。すると49日間、海は大荒れに。「この悪天候は東尋坊の呪いだ!」と噂になり、やがてこの地は「東尋坊」と呼ばれるようになったのだそう。この壮大な崖っぷちには「火曜サスペンス劇場」を凌駕するようなサスペンス(+オカルト)な伝説が息づいているってワケです。
- 東尋坊
- 福井県坂井市三国町安島
がけっぷち、上から見るか、下から見るか
日本海の荒波が打ちつける東尋坊は崖の上から見下ろしても、下(海)から見上げても、畏怖の念さえ覚えるほど、その造形に威厳を感じます。船での見物は「神の島」といわれる雄島(おしま)や一番の見どころといわれる高さ25mの断崖が作り出す「大池(おおいけ)」などが目の前に迫り、より楽しめるはず。
絶壁に設けられた船乗り場への階段の上り下りもスリル満点です。約30分の遊覧タイムは効率的に東尋坊を巡りたい方におすすめ。
- 東尋坊観光遊覧船
- 福井県坂井市三国町安島64-1
- 0776-81-3808
- 大人(中学生以上)1,400円、小人(小学生)700円
- http://www.toujinbou-yuransen.jp
ランチは海鮮丼。お土産は、がけっぷちTシャツで決まり!?
東尋坊の入り口から崖っぷち付近まで続くのが「東尋坊商店街」。ここではお土産もの店や食事処、軒先でイカやホタテなどを焼く海産物店が立ち並んでいます。
この日、海鮮丼のランチをいただいたのは「やまに水産」。ここでは三国港に揚がった名産甘エビをはじめ、地魚を使った丼や定食も楽しめます。食後(別バラともいう)は崖っぷちに近い「IWABA CAFE」でコーヒーやパフェ、あるいは商店街のイカスミソフトクリームなどはいかがでしょう。
お土産店ではシュールな言葉が書かれたTシャツなども売ってました。