ヘミングウェイの記憶も残る。世界遺産「ハバナ旧市街」をめぐる旅
路地で現地の人々の生活に触れる
ここでいったん、スタート地点のセントラル公園に戻りましょう。
すぐそばの「ホテル・パルケ・セントラル」には、広くてエアコンの効いたロビーがあり、「ハバナで1番では?」と思うほどきれいなトイレもあります、暑さに疲れたら、ここで休憩しましょう。
ホテルに向かって左側に伸びているのが、並木道の「プラド通り」。週末は、アートのフリーマーケットが行われています。
取材日は平日だったので、学校帰りにK-POPダンスを練習する女の子がいました。キューバでも、韓国の音楽と日本のアニメは人気です。
プラド通りから、少し横道にそれていきましょう。私の一番のおすすめスポットは、観光客が少ない日常の旧市街です。
路地に入ると、女の子たちが2階から吊るされた袋の中身を取り出していました。
なかから出てきたのは、アイスクリーム。袋にお金を入れると、2階の人がするすると引き上げていきます。ハバナでは、こういったお店がたくさんあります。
日本とはまったく違う、ゆったりした時間が流れています。
路地には電灯が少なく、夜はかなり暗くなります。カメラを持っての街歩きは、安全面からも日が暮れる前がおすすめです。
しばらくすると、ガリアーノ通りに出ました。「アメリカ劇場」や、サルサディスコ「カサ・デ・ラ・ムシカ」がある大通りです。
ここで、ハバナ名物の「道端でドミノをする人たち」を発見。ドミノとは、カリブ海諸国に広く浸透している数字合わせゲームです。
「写真を撮ってもいいですか?」と聞くと、気さくに応じてくれました。
常に真剣勝負で、ヒートアップすると声も身振りも大きくなるのがキューバ式。怒っているわけではなく、大人も子どもも、感情を素直に表現する国民性なのです。
市民の憩いの場「マレコン通り」
少し歩くと、海に出ました。飛び出すように見えているのは「モロ要塞」です。
モロ要塞はハバナを守るため、スペイン人によって1640年に作られました。こことほかの3つの要塞、さらに旧市街を合わせた「ハバナ旧市街とその要塞群」が、世界遺産に登録されています。
モロ要塞を背に海沿いのマレコン通りを歩くと、ハバナの中心が近づいてきます。
海のそばは特に暑いので、散歩するなら曇りの日か、夕方がおすすめ。この日は風が心地よい曇り空で、釣りを楽しむ人が多かったです。
途中、記念写真を撮っている家族と出会いました。キューバは革命後、黒人や女性差別をなくす政策を進めてきました。
いまも完全に差別がなくなったわけではありませんが、日本と比べると、多様な家族の姿を見ることができます。
トランペットの音色に聞き入る、観光客の男性。車がビュンビュン走り、波しぶきが高く上がるなか、ここだけは時が止まったようでした。
こうして、ハバナの一日はふけていきます。
でもまだまだ。ハバナの夜はこれからです。キューバのサルサディスコやジャズクラブは、深夜をまわってから演奏が始まることも多いんです。ホテルから会場まで送迎もあるので、ぜひ夜のハバナを楽しんでください。
キューバは革命から60年が経ちましたが、アメリカの経済封鎖により、厳しい経済状態が続いています。そのため、観光はキューバにとって大切な収入源です。
先進国に比べると不便を感じることはありますが、ハバナの両替所では日本円が使えたり、日本語ガイドのツアーがあったりと、旅行しやすい国に変わってきています。
「社会主義の国」と聞くと、怖いイメージがあるかもしれません。しかしそこに暮らす人の多くは、平和を望み、家族を大切にしながら毎日を過ごしています。
もしどこかでキューバのニュースを聞くことがあったら、この街の風景を思い出してみてください。
- all image by:ヒトミ☆クバーナ
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