大阪・広島「お好み焼き」戦争に終止符か?その歴史をたどる

Array
2020/06/17

お好み焼きの語源は「あとはお好きに焼いてください」から

image by:Shutterstock.com

千利休の麩の焼にしろ、どら焼きにせよ、文字焼にせよ、どんどん焼きにせよ、関西で生まれた洋食焼き(一銭洋食)にせよ、水で溶いた小麦粉をクレープのように鉄板に広げ、その後に具材を重ねていく調理法は、全てに共通しています。

しかし、お好み焼きといえば、具材と小麦粉を溶いた液体を最初から混ぜて、まとめて焼いてしまうスタイルを思い浮かべませんか?この辺りに実は、お好み焼き誕生の秘密があります。

熊谷真菜著『「粉もん」庶民の食文化』(朝日新聞社)によれば、洋食焼きが子どもを中心とした軽食のような食べ物から、お酒と一緒に楽しむ大人の食事に戦後の食糧難で格上げされると、今度は料理が出てくるまでの待ち時間をつぶす意味も兼ねて、自分たちで焼きたいと希望する人が大阪で出てきたといいます。

とくに男女の間では大人の「おままごと」になったため、流行したみたいですね。

お客に自分たちで焼かせるとなると、お店の側もお客の手を汚さないように、具材と小麦粉の液体を最初から混ぜて提供するようになります。

その混ぜた材料を出したら、「あとは好き合ったふたりでお好きに焼いてください」というスタンスで、放っておいたといいます。

この「あとはお好みで焼いてください」という言葉から、「お客自身が自分たちで好きに焼く洋食焼き」=「お好み焼き」が生まれたのではないかといわれているのですね。

この仮説が正しいとすれば、お好み焼きとは、大阪で生まれた洋食焼きの発展形で、お客に自分で焼いてもらうために、生地と具材を最初から混ぜてしまった料理を意味します。

いい換えれば、


  • 自分焼き(お店の人でなく、自分で焼く)
  • 混ぜ焼き(具材と生地を事前に混ぜてしまう)

というふたつの条件を満たした洋食焼きを、お好み焼きと呼ぶと考えられます。

いま読まれてます
エアトリ 100%、ピュアです。初体験が詰まった「ニュージーランド旅」が最高な理由
大阪・広島「お好み焼き」戦争に終止符か?その歴史をたどる
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
TRiP EDiTORの最新情報をお届け
TRiPEDiTORオフィシャルメルマガ登録
TRiP EDiTORの最新記事が水・土で届きます