秘湯ブームの火付け役。乳頭温泉郷「鶴の湯」で極上な湯治体験
「鶴の湯」といえば乳頭温泉。乳頭温泉といえば「鶴の湯」。温泉ファンはもちろん、全国にその名を轟かす秋田の「鶴の湯」は、いまや不動の地位を誇る超のつく人気の温泉です。
しばしば秘湯ブームの火付け役的存在として紹介されることも多く、もはや秘湯の代名詞でもありますね。
今回は、そんな誰もが死ぬまでに一度は行ってみたい!と思っているだろう「鶴の湯」をご紹介したいと思います。
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茅拭屋根の長屋が並ぶノスタルジックな風景
みなさんは秘湯の定義として何を思い浮かべるでしょうか?
一昔前は電気も通っていなかった限界集落や、たどり着くのが困難な山奥にあること?極上の泉質であることや源泉掛け流しであることはもちろん言わずもがな。
秘湯気分を一気に盛り上げるポイントのひとつ“鄙びた風情”を感じる佇まいであることも欠かせませんね。
秘湯が点在する乳頭温泉郷の中にあって、温泉はもちろん、建物も含めたその空間すべてに4つ星、5つ星が並ぶのが「鶴の湯」です 。
「鶴の湯」があるのは乳頭温泉郷を走る県道から細い砂利の山道を3kmほど進んだ山の中。ブナの原生林や水芭蕉の群生地など、手付かずの自然が残された森にその魅惑の温泉はあります。
名の由来は、鶴が傷を癒すために浸かっているのをマタギが発見したことからと伝わります。マタギが出てくるあたりが秋田の山奥の温泉です。
かなりの山奥にありますが、温泉の歴史は古く、江戸時代にまでさかのぼります。元禄時代にはすでに湯宿として一般客を受け入れていたことが記録に残るので、雪深い東北の地において古くから人々の暮らしに寄り添ってきた湯であることがわかります。
ちなみに乳頭温泉郷の中で一番古いといわれるのがこの「鶴の湯」なんだとか。
到着すると迎えてくれるのが、入り口に立つ関所のような立派な門とその向こうに続くこれまた実に立派な茅葺屋根の長屋の風景。
背景には大空と雄大に広がる山がそびえ、近代的な人工建造物など一切視界に映らないその完璧な景色に思わず歓声があがります。
門を境に、その手前は乗用車が停まる現代の世界、そこから先は江戸時代、とタイムトラベルのスタートを告げられる感じ。
見上げるほどに立派な茅葺屋根の長屋は「本陣」と呼ばれ、1638(寛永15)年に二代目秋田県藩主である佐竹義隆公が湯治に訪れた際、警護の武士たちが詰めた場所なのだそう。
現在は宿泊棟として利用されるほか、お土産物家や食堂としても解放されています。江戸時代の集落が令和の時代にまでこうして当時の姿を残してくれているのも、ここが相当の山奥に位置するからに他なりません。