女子高生の制服スカート丈はどう変化してきたか?ミニが好まれる意外な地域差も
気崩しファッションを経て多様化へ
以上のような時代を経た現代は、どのような長さが流行しているのでしょうか。一般に、2000年代に入ると、落ち着いたデザインが好まれるようになったと各種の論文で指摘されています。
一方で、朝日新聞社が、全国の記者ネットワークを使って、約2,400人の女子高生のスカート丈を調査したところ、かなり地域性が出ていたと判明しました。言い換えると、落ち着いたデザインをベースに、多様性が進んでいると考えられるのですね。
例えば、東京・横浜などの首都圏では、ひざ上15cmよりも短い「ミニ」が全国最多の割合で確認されています。しかし、大阪・神戸では逆に、ひざ下ぴったりからひざ下より15cmの丈が全国最多で多い現状が確認されていました。
その他、福岡・福井では、ひざの高さが4割を超え、滋賀・岡山ではひざ上ぴったりが4割を超える割合で確認されたそう。
「気崩しファッション」が全国的に流行した1990年代までは「皆が、同じものを見た」最後の時代だったと指摘する専門家もいます。その後、接触する情報の多様化が進み、全国でほぼ一律、女子学生のスカートが短くなった1990年代半ばのような現象は起きにくくなったのでしょうか。
さらに今後は、性差を意識しないデザインが求められていくみたいです。冒頭で紹介したSharon Kinsellaさんの論文「What’s Behind the Fetishism of Japanese School Uniforms?」でも、日本の女子高生が着用する制服は、性的関心の対象となっているとの指摘もあります。
その意味で、スカートという選択肢そのもののが制服の中で、見直されるかもしれません。興味のある人は引き続き、今後のトレンドにも注目してみてくださいね。
- 【参考】
- Sharon Kinsella – The University of Manchester
- What’s Behind the Fetishism of Japanese School Uniforms – Sharon Kinsella
- 学生服の歴史 – カンコー博物館
- 近代日本における女子学校制服の成立・普及に関する考察 – 難波知子
- バッスル・スタイル 19世紀末 フランス – 杉野学園衣装博物館
- 青山学院の歴史 – 青山学院
- 【特集】1950年前後の学生運動――北大・東大・早大
- 日本で初めてセーラー服を着用した学校は? 歴史学者が明らかにしたセーラー服の100年 – AERA
- Y2Kファッションの源流…「自由」もたらしたミニスカートの歴史 – 読売新聞
- 戦後日本における学校制服の普及過程とその役割 – 馬場まみ
- CA制服、ミニスカの変遷にみる日本経済 – 日本経済新聞
- 日本の学ぶスタイルの変遷(昭和・平成・令和) – トンボ
- 世代別に見た女性の初婚移行―教育水準と男女別学校に着目して― – 中村真理
- 【校長ブログ】似て非なるモノ~旧制高校と新制高校~ – 埼玉県立春日部高等学校(全日制)
- 戦前日本の学校制度をおおざっぱに理解する – 朝森久弥(朝森教育データバンク)
- 【4817号】宣教師からの声 名古屋に女子教育の種を蒔き、 金城学院大学の基礎を築く 学校法人金城学院「金城学院大学ものがたり」より – 日本基督教団
- スカートの歴史と時代の変化…なぜ女性しか履かないの? – Esmod Fashion Work Media
- 学生服の歴史年表 – 村田堂
- 発展期 その50年 – 京都女子学園
- こんなに違う!女子高生2400人「スカート丈調査」東京ミニ、大阪は… – withnews
- 制服の変遷等について – 豊山市
- JK時代、スカートの長さは何センチだった?年代別で見るとびっくり! – CanCam
- 90年代は「皆が同じものを見た」最後の時代だった – 東洋経済
- 東京女子高等師範学校生徒服装変遷写真 – お茶の水女子大学デジタルアーカイブズ
- image by:右)『落成記念写真帖』(東京女子高等師範学校、1936年), Public domain, via Wikimedia Commons/左)photoAC
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