一獲千金のチャンスにかける。沈没船から実際に見つかった「財宝」たち
南シナ海で発見された南宋時代の「南海一号」
アジアでも発見の歴史はあります。有名なケースでいえば、中国で発見された「南海一号」です。
イギリスの調査チームが中国当局と協力して、オランダ東インド会社の難破船を南シナ海で探していたときに、当初の目的とは異なる形で発見された船です。
発見自体は1987年でした。いくつかの調査がすぐさま行われましたが、厚い泥の層に沈んでいるため詳細な調査が困難で、発見後から20年以上も放置されていました。
しかし、盗掘などを防ぐために周辺の水域には、第二次世界大戦の不発弾が残っているなどとデマを流し、漁船を遠ざけ続けたそうですね。
2002年になって引き揚げ計画がようやく再始動し、2007年に実行に移されます。
引き揚げの方法としては、水中作業用の大型コンテナを海底の船体全体に被せるように下して、泥の中に押し込み、コンテナの底面に頑丈な梁(はり)を通してボックス状にしてから、泥と一緒に古船を海面に引き揚げました。
そこから、考古学者たちの本格調査がスタートします。2009年・2011年・2013年と船内の発掘調査が行われました。
すると磁器・鉄器、金・銀・銅・鉛・錫(すず)、竹・木製漆器、ガラス器、人骨、鉱石標本、ガチョウやブタ、ヒツジ、トリ、植物の残がいなど約18万点が見つかります。
調査の結果、南宋(1127年〜1279年)の時代の沈没船だと判明し、
<時代、船体、保存状況のいずれの要素についても、世界でこれまで発見された海に沈没した船で最も価値ある>(China Radio Internationalより引用)
とも分かってきました。
一部の報道によるとその価値は10兆円にも達するとの話。すさまじい発見ですよね。
黒海で見つかった世界最古の難破船
単純に、難破船の古さでいえば、もっとすごい発見が世界にはあります。2018年に黒海で見つかった難破船の歴史は紀元前400年、言い換えると2400年以上前までさかのぼります。
しかも、無傷に近い状態で見つかったので、大英博物館にそのまま収蔵されたという点もすごいですよね。
そもそも黒海は、謎に満ちた海で多くの難破船が海底に沈んでいるみたいです。その黒海で、考古学プロジェクトの研究者たちが、海底油田などの調査に用いる深海カメラシステムを活用し、海底を調べたところ、60隻以上の難破船が確認されます。
そのうち、マストやかじも完全なまま海底に横たわる船体が水深2,000m超の地点に見つかり、放射性炭素年代測定にかけたところ、先の年代が判明したのですね。
どうしてこれほど完全な状態で船が発見されたのか。その理由は、深海の海中酸素が欠乏しているからみたいです。