実はまだ氷河期?日本で初めて「氷河」が発見された富山・立山連峰
2012年、富山で3カ所の雪渓が日本初の氷河に認定
「氷河」と聞くと、なんだか日本人にとっては遠くて寒い国にある印象がありませんか?冒頭でも記した通り、パタゴニアやアラスカ、ヨーロッパの緯度の高い地域、標高の高い山に残っているイメージですよね。
しかし2012年、富山県に氷河があることが判明したのです。そもそも7~8万年前、富山の中でも立山連峰の山頂付近には巨大な氷河が広がっていたと、先に引用した『立山の地形 氷河時代の立山』にも記されています。
筆者の自宅は富山にあり、仕事部屋の窓から山並みを一望できますが、氷河がその重みと流れによって山体を大きく削り込んで、スプーンでえぐりとったような巨大なくぼみを斜面に残している様子が見て取れます。このくぼみを圏谷(カール)と呼ぶそうで、まさに氷河があった証拠なのだとか。
立山連峰の稜線の東側、富山市から見た山の「裏側」にも上述したカールという地形がいくつもあり、その圏谷には万年雪(雪渓)があります。これらの雪渓は、2010年ごろまでは氷河の子孫、氷河に近い構造を持った万年雪とされてきました。
しかし、2012年4月には、立山の雪渓の中でも特に巨大な御前沢(ごぜんざわ)雪渓、さらに剣岳の斜面にある三ノ窓(さんのまど)雪渓、小窓(こまど)雪渓が日本で初めて氷河だと認められたのですね。
当時の新聞を振り返ると、地元の新聞2社が同月に社説で大きく取り上げており、その後も発見の功労者に関する取材記事を断続的に掲載するなど、盛りあがりを見せていました。
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