実はまだ氷河期?日本で初めて「氷河」が発見された富山・立山連峰
2018年、新たに3カ所が氷河と認められる
さらに氷河の発見は続きます。2018年には同じく立山連峰の東側のカールにある内蔵助(くらのすけ)雪渓も、新たに氷河だと認定されます。
2010年度企画展のために立山カルデラ砂防博物館が作成した『立山の地形 氷河時代の立山』を見ると、内蔵助雪渓は「厚さ最大30mもある氷河氷に近い万年雪」と記されていますが、この段階で流動性は認められていません。その後の研究で流動性も認められ、新たに氷河と認められたのですね。
加えて剣岳の池ノ谷右俣(いけのたんみぎまた)雪渓に関しても、氷河と認められました。2013年の段階で、厚さ30mの分厚い氷があり、さらに1カ月で10cmほどの動きが確認されています。かねて、こちらも氷河なのではないかと言われる中で、正式に認められたのですね。この氷河に関しては富山平野からも見える剣岳の西側斜面にあります。さらに同じタイミングで、同じ北アルプスでも、後立山(うしろたてやま)連峰の長野県側にも初めて氷河が確認されました。
こうなると、観光客の関心は「氷河を歩けるの?」「間近に見られるの」という点になってくると思います。結論から言えば、氷河まで山岳ガイドに連れていってもらえる氷河体験ツアーは実施されています。もっと簡単なツアーとして、氷河の近くまで行って眺望を楽しむツアーもあります。残念ながらこれから冬の時期に入るため、ツアーは翌年の夏までお預けになりますが、今から体力をつけ最低限の登山技術を身につけて、来年の夏を目指してもいいかもしれませんね。
- 参考
- 立山の地形 氷河時代の立山 – 立山カルデラ砂防博物館
- 立山の魅力 – 立山に日本初の氷河発見 歩こう。立山
- 剱岳池ノ谷右俣の多年性雪渓の氷厚と流動―現存する氷河の可能性 J-STAGE
- 立山剱氷河・万年雪の用語集 立山カルデラ砂防博物館
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