遺跡だらけの多摩ニュータウン、そのすごさを無料で体験できる施設があった

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2019/11/16

964カ所の遺跡と聞くと、どのような規模を思い浮かべますか?

世界中に点在する遺跡の数々?それとも国内に存在する遺跡…そんな規模だと思うのではないでしょうか?

しかしこの数、実は東京都の一地域である多摩ニュータウンに存在する遺跡の数なのです(東京都埋蔵文化財センター調べ)。

多摩ニュータウンは、稲城市、多摩市、八王子市、町田市の4都市にまたがる多摩丘陵に開発された日本最大規模のニュータウンで、その面積は約2,884haといわれています。

今回はこの土地に眠っていた出土品がずらりと並び、無料で歴史を学べる「東京都立埋蔵文化財調査センター」をご紹介します。

地中に埋もれた数万年から数百年前までの文化の数々

縄文時代のジャックオーランタン?image by:梅原慎治

前述の通り、多摩ニュータウンが広大な土地ではありますが、3,000ha未満の土地のなかに1,000近い数の遺跡が存在するというのは驚きですよね。ちなみに、1haは100m×100mの面積にあたります。

例えの面積で使われることの多い東京ドームの面積が約4.7haなので、東京ドームを2個並べると、そこに3つ程度の遺跡が存在することになりますね。遺跡なのに、“お隣さん”といった間隔で存在するのです。

東京都立埋蔵文化財調査センター外観 image by:梅原慎治

東京都立埋蔵文化財調査センター」では、多摩ニュータウンで発掘された数々の出土品(旧石器時代から江戸時代まで)を常設展示すると共に、さまざまな企画展示も行っています。

image by:梅原慎治

取材時の企画展示は、“「ひと」と「いきもの」がどうあったのか、どうあるべきか”をテーマにした“ひと×いきもの”展。なお、企画展示といっても時代背景が重なるものが多いため、常設展示に沿うようにして展示が行われています。


出土品が眠っていた立川ローム土層の様子を示す模型。image by:梅原慎治
旧石器時代の石器の数々 image by:梅原慎治

展示室は入口から左回りに、旧石器時代から江戸時代へと進展していきます。展示紹介によると、多摩丘陵で人々が生活をし始めたのは、いまから約3万2000年前からなのだそう。そのころは氷河期の終わりで、東京の気候は現在の北海道に近かったんだとか。

そんな時代から人々が生活していた事も驚きですが、気候の違いにも驚きですよね。その時代の人が、いまの東京の夏を体験したらどんな顔をするのか想像してしまいました。

落とし穴の様子 image by:梅原慎治

約2万年前。旧石器時代の後期になると気候も暖かくなり、食料となる動植物が変化してきたことから、石器などにも変化が現れてきました。また多摩丘陵の人々は、落とし穴などを利用してシカやイノシシなどの大型の獣を採っていたそうです。

縄文土器 image by:梅原慎治
縄文時代の道具類 image by:梅原慎治

約1万4000年から3,000年前の縄文時代には、弓矢などの利器が発明され、食品加工などが行われていた形跡も見つかっているそうです。

史実などで知ることができるこれらの事項ですが、実際の出土品を見ながら学ぶ機会というのは、紙の上とは一味違うインパクトがあります。またこのころには、祀りごとなどの文化も誕生していたそうです。

弥生時代の土器。形が複雑で厚みも薄くなっています image by:梅原慎治

2千数百年前の弥生時代からは、米作りや、金属の使用が開始された形跡が見られます。さらにこの時代以降、江戸時代までの比較的新しい時代の出土品には、焼き物や細工など、現代の文化に通じるものも多く存在しているのです。

企画展示 image by:梅原慎治
image by:梅原慎治
江戸時代の出土品 image by:梅原慎治

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