「粗品ですが」とはいわない?マナーの専門家に聞いた訪問時の作法
その4. お茶とコーヒーをいただくときのマナー
次は客室で、お茶やコーヒーを出されたときの振る舞い方です。大原則として、
「『どうぞ』と勧められたあとで、『いただきます』と軽く会釈をし、飲んでください」
との話。飲むとなったら、思い切っていただいてしまった方がいいそう。遠慮して口をつけずに、例えば熱いお茶が冷めてしまった、冷たい飲み物がぬるくなってしまったなどは、逆に好ましくないみたいです。
好みを聞かれた場合も、「どちらでも」などと答えずに、はっきり伝えたいです。
お菓子が一緒に出た場合は、
「せん茶と和菓子が出されたら、せん茶を先に飲んでから和菓子を食べてください。抹茶と和菓子の場合は、茶道を参考に、和菓子を食べてから抹茶を飲むといいかもしれません。抹茶茶わんは正面を向いて出されるため、右から左に2回ほどずらして、正面を外して口にしてください」との話でした。
日本茶の場合、ふた付きの茶わんで出される場合があります。ふた付きの茶わんは、丁寧なおもてなしの証拠だといいます。
- 左手を茶わんに添え、右手の親指と人差し指でふたをつまむ
- ふたの奥側の縁を茶わんのへりにつけたまま、手前だけ持ち上げる
- ふたを茶わんのへりにつけたまま、右回りに90度回し、しずくを茶わんの中に落とす
- 茶わんの上で、ふたを仰向けにする
- 左手を添え、両手で茶わんの右わきに置く
以上の手順でふたを外してください。
そのあとは、右手で茶わんを持ち上げ、左手を添えてお茶をいただきます。色合いや香りを楽しみ、茶わんや茶たくを鑑賞して、元の位置に戻してください。
カップとソーサーでコーヒーや紅茶が出された場合は、混ぜたスプーンをカップの向こう側に置き、カップを片手で持ち上げます。
テーブルの上ではソーサーまで持ち上げる必要はありませんが、テーブルと椅子が離れているとき、例えばソファに座って飲む場合などは、ソーサーも一緒に持ち上げて飲むといいみたいですね。
「一般的に30分経つと、お迎えする側は、お茶やコーヒーを入れ替えます。逆に訪問する側からすると、入れ替えが3回目になったら、帰りの支度をするといいです」
との話。訪問時の滞在時間は、その意味で1時間前後が理想なのですね。