江戸時代の日本人たちが世界をザワつかせた「人魚づくり」物語

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2020/07/06

アメリカ人を仰天させた「フィジー人魚」

モナコ海洋博物館のフィジー人魚image by:Esik Sandor / Shutterstock.com

みなさんは「フィジー人魚」という言葉をどこかで聞いた経験がありますか?

英語で書くと、「Feejee Mermaid」。一説には「富士」から来ているともいわれていますが、フィジー沖で見つかったという人魚を見せ物に、1842(天保13)年、アメリカのニューヨークで、フィニアス・テイラー・バーナム(1810-1891)が『MERMAID EXHIBITION!!!』と宣伝を打ち、展示会を開きました。

バーナム氏といえば、数年前に大ヒットとなった映画『グレイテスト・ショーマン』のモデルともなった人物。そして、この目玉の展示品であるフィジー人魚もまさに、メイドインジャパンでした。

この人魚の持ち主は、ボストン博物館のオーナーになります。

1810年代に日本の漁民が制作し、そのクオリティに驚いたオランダの商人が購入して、アメリカ人の海軍関係者に大金の6,000米ドルで売りつけます。

諸々の問題があり、人魚を買ったアメリカ人の死後に息子の手に渡ります。その息子がボストン博物館のオーナーに売り、そのオーナーが仕掛け人のバーナム氏にリースして、イベントを仕掛けたのですね。

イベントは圧倒的な人気を博します。各紙もこぞって取り上げ、最大限の評価を与えます。孫引きになりますが、

<the most odd of all oddities earth or sea has ever produced.> The Museum of Hoaxesより引用

と、ニューヨーク・サン紙(ザ・サン紙)ほどの大きな新聞でも、1842年8月5日の紙面で、信ぴょう性を疑わずに絶賛したそう。

大まかな意味としては、「大地と海がいままでに生み出した奇妙な物事のなかでも、最も奇妙な生き物」と書いています。


もちろん、アメリカ南部での興行を行った際に、展示品をにせものだと疑うような記事が出るなど、一部には冷静な意見もあったようです。しかし、総じてフィジー人魚は、大衆の好奇心を大いに刺激する見せ物として成功したみたいですね。

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