これぞアメリカン。荒野に大型バイクが並ぶライダー御用達のバーを覗いてきた

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2024/03/02

アメリカの町はずれや荒野をドライブしていると、駐車場に大型バイクがずらりと並んでいるバーやレストランを見かけることがあります。『ターミネーター2』でアーノルド・シュワルツェネッガー演ずるT-800が革ジャンやオートバイを客から奪ったお店を想像してもらってもよいかと思います。

一般的に「Biker Bar(バイカー・バー)」と呼ばれるもので、ジャズ・バー、スポーツ・バー、カラオケ・バーなどのように、れっきとした酒場のいちジャンルであると言えるかもしれません。

私は大学生のころにはホンダの250ccに乗ってブイブイ言わせていたこともありますが、大型バイクの免許は持っていませんし、社会人になってからはオートバイ自体とも縁がありません。

だからバイカー・バーにあえて入ることもなかったわけなのですが、一度は中を覗いてみたいとはかねがね思っていました。

ただちょっと恐いなあというイメージもありました。なにしろ、『ターミネーター2』に限らず大抵の映画ではバイカー・バーに主人公が足を踏み入れるとすぐに乱闘や銃撃戦が始まるからです。

気になっていたご近所のバイカー・バー

image by:角谷剛

私が住んでいる町の近くにも「Cook’s Corner」という名前のバイカー・バーがあります。近くと言っても25kmくらいは離れていますが、それくらいはアメリカでは近距離の感覚です。

私が住んでいるのはロサンゼルス郊外のアーバイン市という地方都市ですが、そこからさらに市街地から離れて、かつての牧場(今でもそうかもしれません)のような草原の中を走る2本の道路がY字で交差する「コーナー」にその店はあります。

これまでにも何回となく店の前を通り過ぎたことはありました。そしていつ見ても映画『イージーライダー』に出てきたような大型バイクが何台も駐車場に並んでいることには気がついていました。

勇気を振り絞ってとは大げさですが、初訪問を決めるにあたって、自宅からの半日サイクリングでこの店を目的地に設定してみることにしました。2時間ほど自転車を漕ぎ、ほどよく疲れたところでランチを食べて、また自転車で家に帰ろうというわけです。


ビクビクしながらバイカー・バーに入ってみると…

店内でセルフィ―撮影。緊張のため表情が固い image by:角谷剛

いざ店の駐車場に辿り着くと、やはりいつものように大型バイクが数台並んでいました。その脇に自転車を停め、ちょこんと頭に乗せていたヘルメットを脱ぎ、汗だらけのTシャツ姿でセルフィ―の記念撮影。革ジャンも着ていませんし、髭も伸ばしていません。はっきり言って、場違いな男です。

店の公式ウェブサイトによると、この店が開店したのは1884年のことだそうです。なんと140年前です。日本の年号では明治17年。

いくらアメリカでもさすがにそのころからオートバイはなかったでしょうから、最初からバイカー・バーだったわけではなさそうですが、ウェブサイトにはその辺の事情は説明されていません。

もちろん、創業当時とまったく同じ建物というわけでもないと思います。それでも私の目から見ると、外観も内部もかなりクラシックです。あるいは古い時代を意識したデザインなのかもしれません。

平日の昼間だということもあって、店内に人の姿は少なく、ゆったりとした雰囲気でした。私以外の客はオートバイ乗りのようでしたが、カウンターに座ってもとくに絡まれることもありませんでしたし、バーテンダーはニコニコして注文を聞きに来てくれました。

大ざっぱな盛り付けのランチ image by:角谷剛

バーに入ったのですが、残念ながらサイクリングの途中でビールを飲むわけにはいきません。仕方なく、いかにもアメリカ的なランチ、つまりそれほど美味しいわけではないけどボリュームはたっぷりのチーズバーガーとチリ・チーズ・フライを食べながら店内を見渡しているうちに、段々と雰囲気が分かってきました。

私のように食事だけでお酒を飲まない人も珍しくないようです。第一、お店の看板には「子ども歓迎」って書いてあるのです。その日は見ませんでしたが、家族連れで訪れてもよいみたいです。

店の隅には小さなステージがあり、カントリー・ミュージックのライブなどが行われることもあるとのこと。いかにも地元の善男善女が集まる雰囲気でもあります。

店の外壁にある掲示板 image by:角谷剛

店の外壁には大きな掲示板があり、「オートバイ売ります・買います」の告知、あるいは修理屋の宣伝ポスターなどが、たくさん貼ってありました。実際にオートバイ乗りの人たちのコミュニティとしても機能しているようです。

  • Cook’s Corner
  • 19152 Santiago Canyon Rd – Trabuco Canyon, CA 92679
  • (949)858-0266
  • 月曜~金曜11:00am~12:00am/土曜8:00am~12:00am/日曜8:00am~7:00pm
  • ホームページ

バイカー・バーの探し方&行き方

image by:James Kirkikis/Shutterstock.com

バイカー・バーの探し方は簡単です。ロサンゼルスでニューヨークでもサウス・ダコタでもいいですので、訪れようとしている都市をグーグルマップで探し、“Biker Bar”で検索してみてください。きっとたくさんのお店がヒットするはずです。

バイカー・バーはオートバイで来店することが前提のスタイルにはなっていますし、そちらの方が格好良いのは言うまでもありませんが、必ずしもそうしなくてはいけないというわけではもちろんありません。

image by:MikeDotta/Shutterstock.com

私のように自転車で来る人は例外的かもしれませんが、レンタカーを借りてもいいですし、アメリカではここ数年バーやレストランに行くときにUberやLyftといったライドシェアを利用する人が格段に増えています。

ライドシェアは日本では導入するかどうかが政治問題になっているようですが、飲酒運転をしなくて済む、地理に不案内な観光客も安心して利用できる、といったいくつかの利点がありますので、私は断然こちらをおすすめします。

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  • image by:角谷剛
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角谷剛(かくたに・ごう) アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大谷翔平を語らないで語る2018年のメジャーリーグ Kindle版』、『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。

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