赤い醤油で快進撃。老舗醤油屋「ヤマサ」の370年サバイバル術

TRiP EDiTOR編集部
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2017/09/04

日本人なら誰もが知る醤油の老舗ブランド「ヤマサ」。創業300年を超えるヤマサ醤油の道のりは、決して平坦なものではありませんでした。そして、今では定番となった「酸化しない醤油」もヤマサ醤油が苦節16年の末に生み出したヒット商品だったのです。「テレビ東京『カンブリア宮殿』(mine)」は、放送内容を読むだけで分かるようにテキスト化して配信。革新に挑み続け、試行錯誤を重ねながら時代と共に変化を遂げてきたヤマサ醤油の歴史を振り返ります。
※本記事はMAG2 NEWSに掲載された記事です(2017年8月31日)

行列のできる人気店も~プロを支えるヤマサ醤油

北海道・札幌でいま大人気の回転寿司店「なごやか亭」白石本通店。ピーク時は1時間待ちが当たり前だとか。魚王国の北海道だけあって、どのネタも新鮮でボリュームたっぷり。山盛りの「生ウニ」(583円)、1皿に甘エビが18匹も重なっている「こぼれ甘エビ」(454円)、そしてこの店で一番人気の「こぼれいくら」(616円)……。

この店ではネタの良さをさらに引き出すためにこだわっているものがあるという。それがヤマサ醤油だ。客が使う醤油はもちろん、下ごしらえにも全てヤマサ醤油を使っている。

いろいろな醤油を食べ比べた中でこの醤油が脂の乗った北海道の寿司に合うんじゃないか」と、大角隆真店長は言う。

お寿司屋さんだけではない。東京・広尾にある、「分とく山」。ミシュランの2つ星を持つ日本料理の名店中の名店だ。コース料理(9品)は1万7820円。名物料理が「鮑磯焼き」。アワビの肝と醤油を合わせた特製のタレが芳醇な味を生み出している。内外の食通を虜にしている野崎洋光総料理長が40年以上愛用しているのもヤマサ醤油だ。

「淡い赤みが出て色が付きすぎない。濃くない。香りが立ちやすい。うまい醤油は香りがツンと立つんです。料理人にとって、一番、使い勝手が良い醤油だと思います」(野崎さん)

ヤマサ醤油は関東の和食店の半数以上東京の寿司屋の7割近くが愛用する(「ぐるなび」調べ)、プロが認める醤油なのだ。

さらに食品メーカーもヤマサを頼りにしている。例えば焼肉チェーンの「叙々苑」が出している焼肉のタレに使われているのがヤマサ醤油なら、ご飯のお供として人気の丸美屋の「のりたま」のほんのり甘辛い味も、ヤマサ醤油でしか出せないとか。そして亀田製菓が醤油にこだわって作った煎餅「揚一番」にもヤマサ醤油が使われている。

ヤマサ醤油の本社がある千葉県銚子市。海風が適度な気温と湿り気をもたらすこの地では、古くから醤油づくりが行われてきた。ヤマサ醤油はなぜ他とは違うのか


その作り方を見てみよう。まず原料の大豆と小麦と麹菌をよく混ぜ合わせて、麹をつくる。この中で味の決め手となるのが「麹菌ですね。これが醤油づくりで、醤油の味を決める重要な要素になっています。この違いによって醤油の味に違いが出ていますね」(庶務課・加藤祐也)。ヤマサが使っているのは、創業以来370年以上守ってきたヤマサ菌」という特別な菌だ。

さらに職人の技が加わる。麹に塩水を加えた「もろみ」を、6カ月の間、季節や天候を見ながら発酵させていく。「空気に触れるよう、かき回すことによって生き生きしてくる。表面がプチプチ、プチプチ音がする」(醸造課・宮内克)と言う。

ヤマサ菌が酵素を生み出してもろみを発酵させる。発酵の進み具合で、味も香りも大きく変わる。赤くて香り高いヤマサ醤油はこうして作られているのだ。

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