台湾ストロー問題。タピオカミルクティーが消えることはない?

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2018/07/31

アジア経済研究所に在籍している寺尾忠能氏の論文『台湾の環境保護運動』には以下のような一文があります。

台湾では、環境保護運動は政治的自由化、民主化の過程で、非国民党勢力と協力することで、それぞれが目的を実現し、その結果政治的自由化、民主化が進展していったと考えられる。

● アジアのプラスチックごみ問題、広がる海洋汚染危機(PDF)

つまり、環境保護運動は台湾の国民党政権と野党の攻防の中で、かつては野党だった民進党が妥当国民党のカードのひとつとして利用し、さらなる政治的自由を求めるためのツールの一つでもありました。そして民進党が政権を担った今、環境問題に力が入るのも自然の流れなのでしょう。

台湾は九州ほどの小さな島国でありながら、環境保護に対しては高い意識を持つよう努力してきました。スーパーで配っていたビニール袋を有料にしているのはもちろん、地球温暖化防止への取り組みとしてCO2削減の努力もしています。

さて、話を冒頭のタピオカミルクティーに戻しましょう。プラスチック製ストローがなくなるかもしれないとの噂だけで、すでに代替品としてステンレスやガラスのストローが登場しています。台湾人の商魂を侮ってはいけません。プラスチック製ストローが廃止されたところで、タピオカミルクティーが台湾の街角から消えることはないでしょう。

資源問題と環境問題は、人類共通の課題として深刻な問題ですが、世界各国に問題意識があったとしても、その改善のために実行できるかというと、なかなかできないものです。意見の相違や国益がらみの問題などが、環境問題以前に各国の間に横たわっているからです。

台湾では、蒋介石親子時代に民主化運動のひとつとして環境運動がありました。台湾の環境運動は、実質的には華僑王国を打倒する民主化運動の一形態として推進されてきました。もちろん政治的には、代替エネルギー問題など即決できない問題が山積しています。

一国の中でも意見が割れて決着がつけにくい環境問題ですから、世界的に解決の道を探るのがどれだけ大変かが想像できます。しかし、そうして結論を先延ばしにしている間にも、マイクロプラスチック問題をはじめとする環境問題はどんどん進行しているのです。政治的決断が急がれます

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1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。1994年、巫永福文明評論賞、台湾ペンクラブ賞受賞。日本、中国、韓国など東アジア情勢を文明史の視点から分析し、高く評価されている。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

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