NY進出で大成功した「大戸屋」と「いきなりステーキ」の共通点
人気絶頂の大戸屋は、次なる展開として“チップ廃止”を実施しました。 これがちょうど2年前です。 チップ制度が当たり前の米国では、この“チップありき”で、雇用主が従業員やアルバイトの時給をコントロールします。 日本人の僕たちには理解しがたいことですが、米国の社会にふか~く根付いているものです。
僕が渡米した18年前は、アルバイトの稼ぎはこのチップだけ、という店が珍しくありませんでした。 店側からの時給はゼロ。 スタンスは、店は食べ物を提供する。 客はその対価を払う。 で、お前たちアルバイトは、うちの食べ物をサーブして、好きに客からチップを稼げばいい。 客がチップを支払わない場合は、その場合は残念だったね。 なので、暇な店で半日働いて稼ぎゼロの日もありました。
さすがに、今では、デモが起きたり、裁判沙汰になったりと、ニューヨーク市の労働基準法に基づいて、最低限賃金(new york city minimum wage)が、時給15ドル程(1600円ぐらい)に設定されました。
時給15ドルは悪くないじゃん?と思われがちですが、今のニューヨークだと、それすら厳しい。 世界一、物価、家賃の高い街では、それすら生活できない、とまたデモを繰り返しています。
少し話が逸れましたが、要はニューヨークの労働者にとってチップは「もらえればラッキー」とうものではなく、生活に必要な「もらえないと困る」もしくは「もらえて当然」の対価です。
で、大戸屋ニューヨーク店はそれを廃止した。
従業員から不満の声も出たことでしょうし、地元のメディアでもニュースになったぐらいインパクトがありました。
でも、実はこのチップ廃止制度に関しては、その少し前から、米国のレストラン業界でも、その是非について議論とはなっていました。 大戸屋以前にも、数店舗、実施するところはあるにはありました。 でも、超人気店の「OOTOYA」も導入したことで、ニューヨーカーからの人気はさらに確固たるものになりました。
NY社長にチップ廃止について取材しました。 「チップ制によるキッチンスタッフとサービススタッフとの給与格差をなくすため」というのが理由ですが、これにより顧客には「お得感」が出ました。 その分、値段設定も少々アップ(+5ドル位)したので、実は「行って来い」なのですが、面倒なチップの計算から解放されただけでも行きやすくはなりました。