長崎の世界遺産だけじゃない!石川の能登にある「軍艦島」とは?
周囲が約400m、標高は28mの軍艦のような離島
見附島の大きさは、地元最大の地方紙である北國新聞社が作成した『書府太郎:石川県大百科事典』を見ると、周囲が約400m、標高は28mとなっています。周囲400mですから、単純に考えて400mトラックのサイズ感ですね。高さはビルで言う7~8階程度。それだけの巨大な島が、軍艦のような姿で海岸から200m程度の距離に浮かんでいます。では、どうしてこの島は軍艦のような形になったのでしょうか。調べてみると、
<能登半島に広く生成する新しく柔らかい地層であるため、浸食がひどく、軍艦を見るような形状になった>(『書府太郎 : 石川県大百科事典』より引用)
と書かれています。明治時代にはまだ海岸線と陸続きだったそうで、その後の海岸浸食で、現在の海岸と島が切り離されたみたいですね。
『石川の地形・地質案内』(東京法令出版)を見ると、見附島の地質はケイ藻泥岩となっています。ケイ藻とはガラス質の殻を持った藻類の一種で、この生き物が大量に繁殖して死滅すると、死骸が海底に積もります。その死骸が長い時間をかけて土の層になり、海底に積もった泥と混じり合って押し固まると、けい藻泥岩になるのですね。
能登半島は日本屈指のケイ藻泥岩の産地として知られており、見附島のある近隣は、
<特に珪藻化石を多量に含む泥岩>(『石川の地形・地質案内』より引用)
が分布しているそう。地質ファンには極めて有名な話として、飯塚ケイ藻泥岩と呼ぶそうで、そのケイ藻泥岩が新第三紀中新世後期の地層の上に堆積した状態で、海上に露出しているのです。
見附島は縁結びの聖地でもある
見附島は、単にケイ藻泥岩が海食作用によって岩肌を大きく露出しただけの荒々しい離島ではありません。絶壁の頂上部には寒暖両系の木々がこんもりと茂っており、その植生が独特の親しみを見る者に与えてくれます。さらに陸地側には見附海岸の砂浜が広がっており、ビーチには縁結びの鐘もあります。隣接した恋路海岸と併せて「えんむすびーち」とも呼ばれ、カップルのちょっとした聖地になっているのですね。
しかも見附島は能登半島の東側に位置するため、早朝に行けば海から上がる日の出も楽しめます。海面は穏やかで、晴れた日は富山湾を挟んだはるか前方に立山連峰も眺められます。駐車場と見附海岸の間にはちょっとした飲食店もあり、飲食や休憩も楽しめるようになっていますので、能登半島旅行の1つのハイライトとしてぜひとも訪れたいです。
ちなみに金沢から自動車で移動した場合、片道3時間ほどの距離。近隣には、見附島鑑賞に最適な宿もあります。見附島あたりで一泊したいと思ったら、併せてチェックしてみてくださいね。
- 参考
- 見附島 石川県
- 『角川日本地名大辞典 17 石川編』(角川書店)
- 『書府太郎 : 石川県大百科事典』(北國新聞社)
- 『石川の地形・地質案内』(東京法令出版)