生々しい感情が蘇る。実物展示へリニューアルした「広島平和記念資料館」へ

原爆の危険性、そして歴史を学ぶ

image by:三河賢文

広島平和記念資料館では原爆に関する知識、そして歴史についても学べます。学校で誰もが多少なり学ぶことではありますが、展示を通じて、より深く広い知識が得られるのではないでしょうか。

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原爆の模型を、息子は興味深く見つめていました。人と対比しての大きさ、そして広島市に投下された「リトルボーイ」と、その後に長崎市へ投下された「ファットマン」の違いなど。意外と小さいと感じたようで、「この大きさで、あれだけの被害が…」と呟いていました。

ちなみに、なぜ原爆投下が広島市、そして長崎市だったのかご存じでしょうか。実は恥ずかしながら私も詳しく知らず、滝川館長が次のように詳しく解説してくれました。

George R. Caron [Public domain], via Wikimedia Commons

「原爆を投下する地域として、一定程度の市街地である必要がありました。つまり、爆風等の被害がどれだけ及ぶか、その程度がわかる場所ですね。
5月の時点では横浜・小倉・京都・広島が候補に挙がり、7月には広島・小倉・新潟・長崎に。広島は第一候補で、悪天候などの場合には次候補に変更する予定だったわけです。
そして当日、実際に広島市上空を訪れると天候は良く、そのまま原爆は投下されました。ちなみに長崎市への原爆投下は、実際のところ第一候補じゃなかったんですよ。小倉が第一候補だったんですが、見えにくかったので長崎に変更されたんです」

私たちは、まだまだ原爆について知るべきことが山ほどあるのだと痛感します。こうした背景を知ったうえで最初から展示を見返せば、また違った視点から見られるかもしれません。

image by:三河賢文

原爆以後、広島市で何が起き、どのようにして復興していったのか。その歴史も、展示を通じて時系列に学ぶことができます。

そのなかには、決して学校では学ぶことのないこともあるのです。例えば地元球団の現・広島東洋カープには、とても熱狂的なファンが大勢います。実はこの球団、なんと原爆投下のわずか4年後に誕生した市民球団なのだとか。

その姿は、原爆被害を受けた市民にとって大きな心の支えとなったのでしょう。だからこそいまでも、広島市民は強くカープを応援し続けているのです。

image by:三河賢文

館内を見て回ると、子ども連れや外国人旅行者の姿もたくさん見られました。悲惨な展示物も多いため、なかには「子どもに見せるのは早い」「自分は見たくない」と思われる方がいるかもしれません。


しかし私は実際に子どもを連れて訪れた結果、「連れてきて良かった」と心から感じました。子どもが年を重ねて再訪すれば、今回の記憶を残しながらも、また新たに学びや気付きを得られることでしょう。

広島には世界遺産である宮島をはじめ、美味しい食べ物などさまざまな魅力があります。そうした観光をキッカケにでも、ぜひ一度、リニューアルオープンした平和記念資料館へ足を運んでみてください。過去に訪れたことのある方でも、きっと貴重な時間になるはずです。

  • 広島平和記念資料館
  • 広島県広島市中区中島町1-2
  • 082-241-4004(総合案内)
  • 大人(大学生以上)200円(30人以上の場合、1人当たり160円)、高校生100円(20人以上の場合、無料)、中学生以下無料
  • 休館日:12月30日、12月31日(情報資料室は12月29日〜1月1日まで閉室)
  • 3月~ 7月 8:30~18:00/8月 8:30~19:00(8月5日、6日は20:00まで)/9月~11月 8:30~18:00/12月~2月 8:30~17:00(いずれも最終入館は30分前まで)
  • 公式サイト
  • image by:三河賢文
  • ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。
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三男一女の大家族フリーランス。中学〜大学まで陸上競技部に所属(中・高:中・長距離、大学:十種競技)。引退後はコーチとして活動。7年のブランクを経て2011年7月からランニングをスタートし、現在はトライアスロンやウルトラマラソンにも挑戦しています。

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