地球最後の日に備えた場所も。エリア51だけじゃない、世界の「立入禁止」スポット
ホワイツ/イギリス
イギリスなど、ヨーロッパには「クラブ」と呼ばれる場所があります。日本のクラブといえば、ホステスによって酒類が提供される飲食店を意味する場合もあれば、DJの流す音楽に合わせて踊るダンスフロアを思い浮かべるのではないでしょうか。
しかし、イギリスのクラブは「社交クラブ」を意味し、階層別・職業別に交友を深める団体が各地に存在しています。
その歴史は、16世紀ごろに生まれた宗教活動の組織を源流にして、17世紀には現在のクラブの基となるさまざまな親ぼく団体が生まれました。
そのなかでも最も歴史が古く、最も権威があるクラブは17世紀の後半、具体的には1693年(元禄6年)に誕生した「ホワイツ」です。このクラブは王族、あるいは政治家、銀行の頭取などしか入れない組織で、なんと女子禁制。
2008年には、当時の首相であったデビッド・キャメロンさんが、
「All male clubs are a thing of the past. (男性だけのクラブなんて時代遅れだ)」
と批判して、会員を抜けた(脱退から9年後に再加入)くらい、厳格なルールを設けて女性の立ち入りを退けてきました。
例外的に、前イギリス女王エリザベス2世の立ち入りが許されたり、エリザベス2世の在位70周年を記念する「プラチナ・ジュビリー」を祝福する食事会が開かれた際にも、男性メンバーの配偶者が例外的に招かれたりするケースが確認されていますが、それ以外はやはり女性の立ち入りが禁止でした。
その性差別を問題視して、女性活動家が侵入を試みて、見事に成功した事例がYouTubeに公開されています。伝統的に、女子禁制だったクラブ文化の反動で、男子禁制のクラブも現在は誕生してきているみたいですね。
スヴァールバル世界種子貯蔵庫/ノルウェー
ノルウェーといわれたら、何を思い浮かべますか?村上春樹さんの小説『ノルウェーの森』を思い浮かべる人もいれば、北欧デザインを思い浮かべる人もいるかもしれません。
『ムーミン』と思った人は、何年か前のセンター試験「地理B」で出題された難問に不正解だった当時の受験生と同じく、惜しいです。『ムーミン』はフィンランドの作品。
話は戻ってノルウェーといえば、北欧3国のなかでも最も西にあり、スカンディナビア半島の西岸に続く、ギザギザの海岸線「フィヨルド」が特徴のひとつにあげられます。
しかしノルウェーの本土から約1,000kmも北上した北極圏の海上にある「スバルバード諸島」を思い浮かべる人は、皆無に近いのではないでしょうか。世界地図や地球儀を確認してもらえれば「え、そんなとこにこんな島があったっけ?」と多くの人が思うはず。
JAXAによれば、諸島全体の約60%が氷河で覆われていて、人間よりも当然、シロクマの方が多い場所なのだとか。
そのスバルバードには、不思議な施設があります。それが「スヴァールバル世界種子貯蔵庫」。
ノルウェー政府が「地球最後の日」に備えて、約450万種の野菜の種をそれぞれ平均して500粒ほどストックできる保存施設です。
急激な気候変動、大きな戦争などで未来の人類が危機に瀕したとき、最後の頼みの綱になるような種を、人類のアクセスが最も困難な場所に2008年から保管しているのですね。
永久凍土層と分厚い岩盤に守られた地中の保管庫はマイナス18度を自然に維持していて、湿度も低いため、長期間にわたって初が可能な状態で種を保存できる状態になっているのだとか。
ちなみに、全世界のほぼ全ての国から集めた食用の作物の種は110万種にも及び、そのストックの多様性はすでに、世界で最高レベルに達しているとの話。なんだか、映画みたいな話ですね。この国際種保存施設も、特定の期間・特定の人たちを除けば、立ち入りが禁止されています。