どうして日本だけイチゴなの?「Xmasケーキ」の定番が国によってこんなに違う
冷蔵庫とハウス栽培の普及がショートケーキを生んだ
では、どうして日本では、現在一般的とされるような、豪華なフルーツケーキに変わって広まったのでしょうか。
結論から言うと、最初からあの姿になったのではなく、徐々になっていったとの話。
不二家に取材した『OCEANS』の記事よると、そもそも不二家が創業時に販売したクリスマスケーキに、生クリームは使われていなかったそう。
イチゴのようなフレッシュなフルーツもなく、ヨーロッパのクリスマスケーキと同じく、ドライフルーツと洋酒を使ったケーキだったそうです。
横浜に寄港する外国船の外国人シェフに頼み込んでケーキのつくり方を教わり始めたものの、最初はなかなか売れず。明治、大正と、時を重ねるごとに日本でも認知度が広まってきたものの、ケーキのデザインは当初のままでした。
しかし、昭和の第二次世界大戦後に冷蔵庫が普及して、イチゴのハウス栽培が進むと、生クリーム&フルーツの「ショートケーキ」が日本で誕生します。
ちなみに、国産第1号の電気冷蔵庫は1930(昭和5)年に誕生、電気冷蔵庫の呼び名が定着してきた時期は1935(昭和10)年。イチゴのハウス栽培は昭和30年代になります。
その結果、われわれの想像するクリスマス(ショート)ケーキが生まれ、定着していったのですね。
ショートケーキの「ショート」の語源こそ「ショートニング(油脂)を使ったから」など諸説あるようですが、不二家の創業者が考案したケーキは間違いなく、日本人がイメージするクリスマスケーキの姿そのもの。
<スポンジケーキの間にホイップクリームや果物を挟んで重ね、表面にもホイップクリームや果物を飾りつけたもの。いちごを用いたストロベリーショートケーキをさすことが多い>(講談社『和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典』より引用)
さらに、ショートケーキが定着した現在、その定番すぎるケーキに加えて、チョコレートケーキ、チーズケーキ、タルトタイプのケーキ、モンブラン・栗のケーキ、ブッシュドノエルなど、クリスマスケーキの多様化が進み、今のような豊富なラインアップが並ぶようになりました。
【参考】
- The History of Christmas Cakes – Sponge
- Twelfth Night Cake – British Food a History
- Chirstmas Cake – British Food a History
- Decorating the Chiristmas Cake – British Food a History
- History of Christmas Cakes – Recipes and Ideas – English Tea Store
- Christmas cakes in Japan: An affectionate history – JapanToday
- How A Birthday Cake For Jesus Became My Family’s Sweetest Christmas Tradition – Southern Living
- 西洋でいうおせち!?「シュトレン」がクリスマスの定番になった理由[あの食トレンドを深掘り!Vol.12] – 毎日新聞
- 和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典 – 講談社
- クリスマスの代表的菓子「パネットーネ」の正体 – 東洋経済ONLINE
- 1月のエピファニー(公現祭)・十二夜 ガレット・デ・ロワ – カクヨム
- 不二家のクリスマスケーキ 明治時代から始まったその意外な歴史とは – OCEANS
- 「ショートケーキ」の名前の由来は何ですか? – 不二家
- 家電の昭和史冷蔵庫 – 一般社団法人 家庭電気文化会
- 2023年のクリスマス、クリスマスケーキはどうする??~事前アンケート結果 – 月島食品工業株式会社
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