どうして日本だけイチゴなの?「Xmasケーキ」の定番が国によってこんなに違う

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2023/12/24

冷蔵庫とハウス栽培の普及がショートケーキを生んだ

では、どうして日本では、現在一般的とされるような、豪華なフルーツケーキに変わって広まったのでしょうか。

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結論から言うと、最初からあの姿になったのではなく、徐々になっていったとの話。

不二家に取材した『OCEANS』の記事よると、そもそも不二家が創業時に販売したクリスマスケーキに、生クリームは使われていなかったそう。

※イメージです。image by:Shutterstock.com

イチゴのようなフレッシュなフルーツもなく、ヨーロッパのクリスマスケーキと同じく、ドライフルーツと洋酒を使ったケーキだったそうです。

横浜に寄港する外国船の外国人シェフに頼み込んでケーキのつくり方を教わり始めたものの、最初はなかなか売れず。明治、大正と、時を重ねるごとに日本でも認知度が広まってきたものの、ケーキのデザインは当初のままでした。

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しかし、昭和の第二次世界大戦後に冷蔵庫が普及して、イチゴのハウス栽培が進むと、生クリーム&フルーツの「ショートケーキ」が日本で誕生します。

ちなみに、国産第1号の電気冷蔵庫は1930(昭和5)年に誕生、電気冷蔵庫の呼び名が定着してきた時期は1935(昭和10)年。イチゴのハウス栽培は昭和30年代になります。

その結果、われわれの想像するクリスマス(ショート)ケーキが生まれ、定着していったのですね。

ショートケーキの「ショート」の語源こそ「ショートニング(油脂)を使ったから」など諸説あるようですが、不二家の創業者が考案したケーキは間違いなく、日本人がイメージするクリスマスケーキの姿そのもの。


<スポンジケーキの間にホイップクリームや果物を挟んで重ね、表面にもホイップクリームや果物を飾りつけたもの。いちごを用いたストロベリーショートケーキをさすことが多い>(講談社『和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典』より引用)

さらに、ショートケーキが定着した現在、その定番すぎるケーキに加えて、チョコレートケーキ、チーズケーキ、タルトタイプのケーキ、モンブラン・栗のケーキ、ブッシュドノエルなど、クリスマスケーキの多様化が進み、今のような豊富なラインアップが並ぶようになりました。

【参考】

 

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翻訳家・ライター・編集者。成城大学文芸学部芸術学科卒。富山在住。主な訳書『クールジャパン一般常識』、新著(共著)『いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日』。北陸のWebメディア『HOKUROKU』創刊編集長。WebsiteTwitter 

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