ほろ酔い旅気分。レトロから最先端まで、全国「かわいいカップ酒」の魅力
全国の「カップ酒」に魅せられた女性
旅の醍醐味のひとつといえば、その土地その土地の「お酒」。良質なお米と名水によって研ぎ澄まされた日本酒は、まさに風土の宝です。海の幸、山の幸とともに一献傾ければ、それはもう極上のひととき。
「日本酒はおいしいけれど、瓶が重くって」。旅先で買って帰るのは躊躇してしまいがち。そんなときにお手頃なのが「カップ酒」。ふたを開ければ、そのままガラスのコップに早変わり。各地のお酒をちょいと味わうには、ちょうどいいサイズ。お土産にしても喜ばれます。
そんな全国のカップ酒に惚れこみ、ひたすらInstagramにアップし続けている女性がいます。それが自らを「カップ酒愛好家」と呼ぶ、浅沼シオリさん(32)。
東京にあるデザイン関係の会社にお勤めの女性。文房具や雑貨の企画デザインをしているクリエイターです。
浅沼さんがコレクションするカップは、多くがカラフルで、デザインがとてもかわいい。シブいイメージの日本酒が別の顔を見せてくれています。「日本酒って、こんなにかわいかったの!?」と、印象の違いにきっと驚くことでしょう。
さらに浅沼さんはこれまで蒐集したカップを『かわいいワンカップ手帖』というミニコミにまとめているのです。現在3号まで発売し、店頭に並べばたちまち完売する人気。
「ご当地カップ酒のかわいさ」に目覚めさせてくれた浅沼さんに、入手のコツや、カップ酒の魅力について伺いました。
※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウィルスの海外渡航・入国情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。
「旭山動物園」のカップ酒にひと目惚れ
―お酒のカップを集めはじめたきっかけは、なんだったのですか。
浅沼:「よし集めよう!」って決めてコレクションを始めたわけではないんです。たまたま「かわいいな」と思えるカップ酒を見つけたので試しに買ってみたら、歯止めがきかなくなっちゃって。
―コレクション第一号は、なんですか。
浅沼:北海道旭川市「旭山動物園」のカップ酒ですね。ほんと、かわいい。3種類あるんです。見つけた場所は北海道ではなく、現在はもうないんですが東急プラザ銀座店に入っていた「HANDS EXPO(ハンズエキスポ)」という商業施設。全国の日本酒とおつまみの販売コーナーがあって、そこで発見しました。
―コレクション第一号は東京都内で見つけたのですね。
浅沼:そうなんです。いま住んでいる場所と職場が東京なので、カップ酒は都内で購入する場合が多いです。都道府県ごとのアンテナショップへ行ったり、地方の物産フェアが開催されていたら覗いてみたり。あと、街を散歩していて見つけた酒屋さんに入ってみるとか。カップを集めはじめるまで、知らない酒屋さんをいきなり訪ねるなんて経験、ほとんどなかったです。
―カップ酒によって行動範囲や街を見る目が変わったのですね。
浅沼:そうですね。変わりましたね。
集める基準は「絵柄がカップに直接プリントされていること」
―カップ酒のカップはいま、どれくらいの数が集まりましたか。
浅沼:200種類くらいですね。
―いつから集め始めたのですか。
浅沼:2017年の1月から。たくさん集まったので1年後の2018年1月からInstagramにアップしはじめました。
―5年も経たずに200種類も集めるって、すごいですよ!200種類もどうやって保存しているのですか。
浅沼:無印良品で買った箱に、背丈が近いカップをだーっと敷き詰め、その上に布か段ボールを、もう一段、もう一段というふうに重ねています。カップのミルフィーユというか。
―シャンパンタワーみたいですね。集める基準はありますか。
浅沼:あります。集める基準は「絵柄がカップに直接プリントされていること」。ガラスに印刷されたインクの部分が「ぽこっ」と手にかすかにあたる感覚がかわいい。かわいさって見た目だけではないんです。
―確かに浅沼さんが発行している『かわいいワンカップ手帖』に掲載されているカップは、ほぼすべてプリントグラスですね。
浅沼:絵柄が直接プリントされたカップはラベルシールを貼るタイプよりも製造の手が込んでいるし、お酒を飲み終わったあとも部屋に飾るなど手元にずっと残しておける感じが好きなんです。それにシールを貼っているカップ酒は数が多すぎて。本当にたくさんあるので、集めはじめたらキリがなくて。
―ラベルシールを貼るタイプのカップだと、糊が劣化して保存が難しいですものね。
浅沼:そうなんです。洗うとシールが剥がれてぼろぼろになってしまいますし。