世界で愛される和食文化。フランスで独自進化した「ニュー焼き鳥」とは

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2019/01/23

和食が世界で広がりを見せていますよね。2013年にユネスコで無形文化財として登録されてから、その勢いはさらに加速している印象があります。

それだけ世界に広まっていくと、当然世界各地で起きてくる現象は和食の現地化。実際にすしはかなり前から世界に広まっていて、各国でユニークなオリジナルすしが開発されています。似たような例として、今では現地で独自の進化を遂げている焼き鳥も見られます。例えばフランスのboeuf(beef) fromage yakitoriですね。

そこで今回はフランスで現地化したフランス流の「焼き鳥」を実際に作って食べてみました。赤ワインを飲みたくなる味わいでしたので、ワインのつまみに何かを作りたいと思ったら、ぜひとも料理してみてくださいね。

フランスではすしより焼き鳥が人気

そもそも上述したboeuf(beef) fromage yakitoriは、どうしてフランスで作られるようになったのでしょうか? 料理のレシピを扱うフランスのインターネットサイトには、boeuf(beef) fromage yakitori が2012年の情報として「今最も流行している串焼き」として紹介されています。

筆者撮影

日本貿易振興機構(ジェトロ) 農林水産・食品調査課が同じころに行った『日本食品に対する海外消費者意識アンケート調査』(2013年)を見ると、フランス人にとって最も好きな日本料理は、すしを抑えて焼き鳥がNo.1になっています。米国、イタリアなど欧米でも焼き鳥は大変な人気ですが、すしや天ぷらには及ばない様子。

一方でフランスでは日本料理として焼き鳥がNo.1に評価されている点を考えると、頻繁に口にされる中で次第にアレンジされるようになり、フランス流の「焼き鳥」が生まれたと考えられますよね。

チーズを牛肉で巻いて焼くフランス風の「焼き鳥」

筆者撮影

もちろん今でも、boeuf(beef) fromage yakitoriは安定した人気を誇る食べ物になっているようです。動画投稿サイトやSNSにもここ数年の間に、繰り返しレシピや作り方の情報が公開されていますし、そうした情報に対して高評価を寄せる声も見られます。

2017年に公開された米フォーブスの『The Japanese Food Boom Shows No Sign Of Slowing Down』という記事でも、fromage yakitoriについての記述が当たり前に書かれていました。そう考えると、もはや定番のメニューになったと考えてもよさそうですね。

Boeuf(beef) fromage yakitoriは、日本の焼き鳥とちょっと印象が違います。チーズに串を通し、薄切りにした牛肉で巻いて、しょうゆベースのソースで焼く料理。知人のフランス人に聞いてみると、「食前酒と一緒に楽しみたい料理」といった印象があると教えてくれました。


日本人からすると、「焼き鳥なのに牛肉?」と思うかもしれません。しかし、全国やきとり連絡協議会の公式ホームページによれば、焼き鳥の歴史は幕末から明治時代にスタートするとかで、黎明(れいめい)期は鶏肉のみならず、牛や豚の臓物なども食されていたと言います。

<この時代のやきとりは、鳥肉だけではなく、牛や豚の臓物もあったというから、「やきとり」の材料を鶏肉、豚肉、果ては馬を使うのがおかしいと目くじらをたてるのは変なことかもしれない>(全国やきとり連絡協議会のホームページより引用)

堅苦しく考えずに、牛肉で一度作って食べてみて、単純においしいかおいしくないかで有り無しを判断してみるといいかもしれませんね。

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