有名観光地の怪奇現象…。昔から伝わる世界遺産のミステリアスな話
ベルサイユ宮殿/フランス
次はフランスの世界遺産「ベルサイユ宮殿」になります。ルイ14世の時代に造られ、増改築を繰り返して現在に至ります。その装飾の美しさや庭園の見事さは、後に世界中の宮殿建築のお手本にもなりました。
歴史好きからすれば、第一次世界大戦後の講和条約(ベルサイユ条約)が調印された場所として、記憶しているかもしれませんね。そのベルサイユ宮殿の庭園は、タイムスリップが起きるミステリースポットとして知られています。
最初にベルサイユ宮殿でタイムスリップを経験した人は、英国人の教育者シャルロット・アン・モーバリーとエレノア・ジョルダンといわれています。
シャルロット・アン・モーバリーは当時、オックスフォード大学のセント・ヒューツ・カレッジ(学寮)の学長(学寮長)だったと言います。学寮長の偉大さが日本の教育システムでは理解しがたいですが、社会的には極めて高い地位を持つ人ですね。
エレノア・ジュールダンに関しても、後に同カレッジで副学長、学長になっています。無名の人がタイムスリップを経験したというのではなく、社会的に極めて高い地位にある人がタイムスリップを経験したと主張しているため、大きな話題となったのですね。
ベルサイユ宮殿は、広いです。その敷地面積は、フランス革命後に狭くなったといっても約830ヘクタールもあります。東京ドームでいうとおよそ166個分近くの広さですね。
その庭を2人が1901年8月にガイドブックを持ちながら周っていると、世界がまるで100年前に戻ったかのように不意に様変わりしてしまったのだとか。その当時では考えられないような古い服装を来た人と遭遇したり、1901年の段階ではすでに存在していない(取り壊されていた)はずの橋が存在していたりと、不思議な体験をしたといいます。
この出来事を最初、2人は英国心霊現象研究協会(SPR)に報告し、信じてもらえないと分かると匿名で『An Adventure』という本に記しました。彼女らの死後、作者である2人の境遇が発表されると、いよいよ社会的な立場の高い2人の発言として、世間から注目を浴びました。
Sarah Bartlett著『Guide to the world’s supernatural places』によれば、宮殿の庭園でルイ15世の亡霊を目撃した人もいるのだとか。近くベルサイユ宮殿に行く人は、目に留まる変化に注意深くなりたいですね。もしかするとすれ違う通行人は、現代の観光客ではないかもれしれません…。
エディンバラ城/スコットランド
次は「エディンバラ城」。エディンバラとはイギリス連邦の一部であるスコットランドの中心都市ですね。中でも旧市街地のエリアは世界遺産に認定されており、エディンバラ城がシンボル的な役割を果たしています。
エディンバラ城は、マグマの通り道を火山岩(火成岩の一種)が埋めた、高さ約130mの隆起の上に建っており、防衛だけを考えると極めて有利な地形に立地しています。
それでも、1296年にイングランドの王様、エドワード1世に3日間包囲され、攻め落とされた歴史があります。その悲しい歴史に関連した超自然的な現象を、目にする人が多く報告されているのかもしれません。
エディンバラ城の直下にある観光地、グラス・マーケット(Grass Market)といわれるエリアには、まちなかに扁平(へんぺい)な形をした当時の処刑台も残されています。
当時、罪人の公開処刑は市民の娯楽だったといわれているのだとか。優しさも人としての強さもなく、ただ「おもしろいこと」を追求していくと、最終的には極刑を楽しむといったレベルまで、人間は落ちぶれてしまうのかもしれません。
また、エディンバラでは大規模な魔女狩りが行われた歴史もあります。そうした報われない霊の存在が、城を中心にまち中を徘徊(はいかい)しているのかもしれませんね…。