桃太郎はホントに岡山?誰もが知っている「五大昔話」のゆかりの地
かちかち山

取材で山梨県の河口湖に訪れたとき、湖畔にロープウエイがあり、山(天上山)の上から湖が一望できると知って、上ってみた経験があります。
その際、河口湖に面した天上山こそが『猿かに合戦』の舞台で、背中に火の点いた猿が逃げ下った場所だと知りました。

ただ、この「起源説」には、小説家・太宰治による働きがあります。太宰が短編小説集でかちかち山の舞台を天上山に設定したため、猿かに合戦の舞台として後世に認識されるようになったのです。
日本昔話事典によると、かちかち山の物語は近代になって、小学校の読本に採用された際に形が整えられたそうです。

もともとの物語を見ると、じいさんがタヌキにだまされる前半部分と、じいさんの代わりにウサギがタヌキに仕返しをする後半部分は独立していて、後に合体させられたと考えられるとのこと。
前半部分は主に東北に、後半部分は西南日本に伝わる物語に多いというため、発祥の地が○○とは、かちかち山の場合も実際のところは断定できないのです。
目的地を決めてからの旅もいいものですが、作品、それも老若男女はば広く知られている作品の足跡を辿ってみるというのも、楽しいもの。
ぜひ、旅先を決める際の参考にしてみてくださいね。
- 参考
- 稲田浩二、他編『日本昔話事典』(弘文堂)
- 河鍋暁斎画:『舌切すずめ』 [Public domain], via Wikimedia Commons
- ※掲載時点の情報です。内容は変更になる可能性があります。
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