タヌキにクマも!?歴代大統領がホワイトハウスで愛した珍しいペットたち
飼い主としての絶対的な責任を果たす限り、ペットを誰もが当たり前に暮らせる時代。なかでも「イヌ」と「ネコ」を家族として迎え入れる人が多く、街を歩いているとワンちゃんをお散歩させている人を見かけることも珍しくないですよね。
以前、TRiP EDiTORでは「ホワイトハウス」でとてもステキな犬様(Boさん)と、オバマ元大統領が走る姿をご紹介しましたが、ペットを家族の一員として愛する気持ちはまさに世界共通。
もちろんワンちゃんやネコちゃん以外にも、少しばかり珍しい動物たちが家族としてホワイトハウスに迎えられるケースもあるみたいですよ。
※本記事は新型コロナウイルス感染拡大時のお出かけを推奨するものではありません。新型コロナウイルスの海外渡航・入国情報および各施設の公式情報を必ずご確認ください。
レベッカさん(タヌキ)
突然ですが「タヌキ」を英語で何というかご存じですか?イヌは「dog(ドッグ)」、ネコは「cat(キャット)」、キツネは「fox(フォックス)」ですが、タヌキといわれると意外に答えに困るのではないでしょうか。
答えは「racoon(ラクーン)」です。『証城寺の狸囃子(しょうじょうじのたぬきばやし)』の英語版『Sho-Jo-Ji / The Hungry Raccoon』でも「Sho sho sho-jo-ji, sho-jo-ji is a raccoon.」などと歌われています。ちなみにアライグマもタヌキも、英語ではどちらもラクーンです。
このタヌキをホワイトハウスで飼っていた人がいます。第30代アメリカ大統領のカルビン・クーリッジ氏です。クーリッジ家が飼っていたタヌキの名前は「レベッカ(Rebecca)」さんでした。
レベッカさんは、支援者から1926年に贈られたみたいです。しかも、アメリカの祝祭日である感謝祭の食材として提供されたそう。ちょっとビックリですよね。
しかし、クーリッジ氏の家族がタヌキの愛らしさに惚れ込んでしまい、ペットとして飼う流れになったのだとか。ペットの種類で考えても、ホワイトハウスに飼われた経緯を考えても、とてもユニークな生涯をレベッカさんは送っています。
レベッカさんのお目見えは1927年で、「White House Raccoon(ホワイトハウスのタヌキ)」と刺しゅうされた首輪も披露されました。
1929年にクーリッジ大統領が立場から退いたあとは動物園に送られたそうで、最後の扱いも含めて世界一特別なタヌキといえそうですね。
ビリー・ポッサムさん(オポッサム)
Billy Possum became a local hero when a nearby high school baseball team in Hyattsville, Maryland, found that their precious mascotan opossumhad run away. 2/6
Image Credit: Library of Congress pic.twitter.com/VcXd5bfJwP
White House History (@WhiteHouseHstry) April 10, 2020
日本人にはなじみの薄い生き物ですが、アメリカには「オポッサム」という有袋類がいます。もともと中南米に住んでいた生き物で、一部が北米まで進出したと百科事典に書かれています。そのうちの一種がオポッサムです。
<木登りが巧みで、尾を枝に巻き付けてぶら下がる。雑食性で、夜行性。フクロネズミ>(岩波書店『広辞苑』より引用)
このオポッサムをホワイトハウスで飼っていた大統領がかつて存在しました。
先ほどのカルビン・クーリッジ元大統領を継いで、第31代アメリカ大統領に就任したフーヴァー氏です。クーリッジ大統領と同じ共和党の政治家です。
このフーヴァー大統領は、世界大恐慌に就任直後に直面するなど、穏やかではない就任期間を過ごします。その間のホワイトハウスで飼っていたペットがオポッサムでした。
名前を「ビリー・ポッサム(Billy Possum)」さんといいます。先ほど登場したタヌキのレベッカさんのためにつくられた小屋に勝手に侵入した野生のオポッサムを、ホワイトハウスの警察官が捕えたというユニークな出合いでした。
結局、ホワイトハウスで飼われる運びになったのですが、ユニークな逸話はその後も続きます。
まず、ホワイトハウスでオポッサムが飼育され始めたとのニュースを知った地元高校の生徒たちが騒ぎ始めました。なぜならちょうど、チームのマスコットとして学校の野球部が飼育していたオポッサムが脱走して行方不明になっていたからです。
そこで、高校生たちがホワイトハウスに連絡を取り、自分たちが飼っていたオポッサムかどうかを確かめに行きます。
結局、高校生たちが飼育していたオポッサムではないと分かったのですが、事情を知ったフーヴァー元大統領はオポッサムを高校生たちに貸し出します。
すると、野球部のみならず同行の運動部チームが軒並み快進撃を始め、ホワイトハウスから貸し出されたオポッサムの神通力が評判になりました。このオポッサムは、フーバー元大統領がその座を退く際に、動物園に引き取られたみたいですね。