鈴鹿峠がボーダーライン?東西「お雑煮」をたどる東海道五十三次

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2018/12/26

草津、大津、京都のお雑煮は丸もち、白みそ

東海道は鈴鹿峠を超えると、琵琶湖に近づくにつれて、土山、水口、石部と宿場町が続きます。さらに琵琶湖沿いの草津、大津を経て、終点の京都へ。『全国から集めた伝統の味 お雑煮100選』には、京都のお雑煮がいくつも掲載されていますが、どれも煮た丸もち白みその汁といった組み合わせになっています。

画像はイメージです(image by:gontabunta/Shutterstock.com)

筆者の知人が大津に暮らしているため念のため確認すると、やはり煮た丸もちと白みその汁との話でした。先ほどは滋賀県の彦根も、丸もちと白みその文化圏だと紹介しました。滋賀県からはもう完全に西の文化圏になっているのですね。

九州地方のお雑煮(image by:photAC)

しかし、関西から九州の鹿児島にいたる西側のすべての地域が、丸もちと白みそのお雑煮を食べているかと言えば、違います。丸もちに関しては京都や大阪からどれだけ西に進んでも変わりませんが、白みそに関しては、兵庫を越えて岡山まで行くと、再びかつお節でだしを取ったしょうゆのすまし汁に戻ります。

『全国から集めた伝統の味 お雑煮100選』にも、岡山県倉敷市のお雑煮が紹介されており、煮た丸もち+すまし汁という組み合わせになっていました。

もちの形状は鈴鹿峠で東西が分かれ汁の味については関西と関西に近い四国の東部だけが白みそという分布図になっているようですね。

手作りあんもち(image by:photAC

『全国から集めた伝統の味 お雑煮100選』によれば、福井の南部を中心に丸もち+赤みそという独特な文化圏があり、山陰にも小豆汁という独特な文化圏がありますが、これらは全国的に見ても例外的な存在。丸もちか角もち、白みそかすまし汁をそれぞれ組み合わせたバリエーションが基本として存在し、そのベースに土地の食材を加えると、ご当地のお雑煮ができあがるのです。

この冬、実家や地方に旅行へ出かける方は、その地のお雑煮を食べて集まった人たちと話をしてみると、より知識が深まり、面白いお雑煮の一面が見えてくるかもしれません。

  • 参考
  • 文化庁『全国から集めた伝統の味 お雑煮100選』(女子栄養大学出版部)
  • 竹内由紀子『日本の食と暮らし(1)地域ごとに比較しよう お雑煮 そば・うどん すし、みそ』(学習研究社)

image by:norikko/Shutterstock.com

※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。


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翻訳家・ライター・編集者。成城大学文芸学部芸術学科卒。富山在住。主な訳書『クールジャパン一般常識』、新著(共著)『いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日』。北陸のWebメディア『HOKUROKU』創刊編集長。WebsiteTwitter 

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