フランス、実は関西説。海外で通じない日本の常識
「タピオカ」は本場・台湾で通じない?
ある取材中に外国人のジャーナリストたちとご飯を食べていると、台湾人に「バブルドリンク、好きですか?」と聞かれました。「なんのこと?」と聞き返すと、「イタリアでも人気」だと、その場にいたイタリア人ジャーナリストが会話に加わってきました。
何を意味しているのか分からないと聞くと、「日本でも有名だよ」といわれました。バブルドリンクとは、ずばりタピオカドリンクです。
いわゆる「タピオカ(ミルクティー)」の本場は台湾のはず。その台湾人たちがバブルドリンクと呼ぶのに、なんで日本ではタピオカというのでしょうか。タピオカを辞書で調べると、
<キャッサバの塊根から製した澱粉。食用または飼料とする>(岩波書店『広辞苑』より引用)
とあります。キャッサバとは中南米を原産とする熱帯低木で、そのサツマイモに似た根の部分からでん粉が精製できます。要するに、でん粉そのものをタピオカと呼ぶのですね。
長友麻希子著『日本におけるタピオカ–高級食材から代用食へ』の抄録を読んでも分かるように、タピオカはもともと世界中の人々の暮らしで使われるfoodstuff(原料としての食品)で、食べ方はたくさんあります。球状に丸めてゆでる、例のモチモチした食べ物にする調理法は、そのなかのひとつにすぎません。
春水堂が1983年に、当時としてはホットが当たり前だったミルクティーを、カクテルシェーカーに氷と一緒に入れてシェイクして売り出したところから始まります。
当初は苦言の声もあったそうですが、冷えたミルクティーはたちまち若者に受け入れられます。そのシェイクした飲み物の表面には泡が浮かぶために、「バブルドリンク」と呼ばれるようになります。
台湾人のジャーナリストに聞けば、台湾でも若者の多くは普通に英語を話すため、現地の言葉と英語を(日本人でいえばカタカナみたいな感じで)使う場合も多いといいます。
さらに春水堂が1987年、社内コンペで新しい飲み方の提案を募り、ストアマネージャーのLin Hsiu-huiさんが、大好きなタピオカボールをシェイクした冷たいミルクティー(bubble drink)に入れる提案をしたと、South China Morning Postが報じています。このアイデアが、後の大ヒットを生むのですね。