トウゴウ、ミカド…日本由来の「地名」が世界各地に残されている理由

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2024/07/20

日本由来の地名は南極にも

南極のロス海に面する「白瀬海岸」は何の由来? image by:Shutterstock.com

さらに遠方で言えば、日本由来の地名は南極にもあります。南極の地図を開くと、例えば、ロス海に面して白瀬海岸という文字が見えます。白瀬で言えば、昭和基地の近くに白瀬氷河という文字も見えます。

その昭和基地の近くには、やまと山脈の文字も見え、そのやまと山脈(クイーン・ファビオラ山脈とも)の山頂は福島岳と呼ばれています。

これらの地名は、なんとなく察しが付くかと思いますが、南極で活躍した日本人の名前です。国際的にも認められ、地図にも記載されるケースももちろんたくさんあります。

例えば、白瀬という名前は、白瀬矗(のぶ)から来ています。先ほど、日露戦争の話題が出ました。その戦いで中尉だった軍人の白瀬矗には探検家でもあり、1912(明治45)年に開南丸で、南極探検隊(白瀬隊)のリーダーとして南極に上陸しています。

その後、南緯80度5分まで到達し、大和雪原(やまとゆきはら)と到達(折り返し)地点を命名した人です。その白瀬が踏査した海岸地域を白瀬海岸と呼び、その白瀬にちなんで、白瀬氷河なども命名されました。

福島岳については、1960(昭和35)年末に、やまと山脈の最高峰に初めてたどり着いた日本隊の偉業に関係しています。

最高峰到達が達成される少し前、昭和基地付近で遭難死した南極地域観測隊員の福島紳(しん)にちなんで付けられた名前です。

南極の地名は、

<南極探検史をひもとくことに他ならぬ>(守田康太郎『南極の地名』より引用)

らしく、18世紀初頭から始まった探検において活躍した探検家とその背後にいる国家の王侯たちの名前が、そこかしこに付いているそう。その中に、日本の先人たちの偉業を通じて、日本由来の名前がたくさん存在しているのですね。


地名には、いろいろな歴史が濃密に関係しています。「日本っぽい地名だな」と旅の途中などで思ったら、その由来を調べて見ると、日本の先人の足跡に思わず触れられて楽しいかもしれませんね。

 

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翻訳家・ライター・編集者。成城大学文芸学部芸術学科卒。富山在住。主な訳書『クールジャパン一般常識』、新著(共著)『いちばん美しい季節に行きたい 日本の絶景365日』。北陸のWebメディア『HOKUROKU』創刊編集長。WebsiteTwitter 

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