一体なぜ?絶対に持ち主にはなってはいけない、呪われた「屋敷&宝石」
ホープ・ダイヤモンド
恐怖のスポットをいくつか紹介したので、呪いのアイテムを今度は紹介します。のろいのアイテムとして最も有名な物のひとつといえば、「ホープ・ダイヤモンド」が挙げられるはずです。
現在は、スミソニアン博物館群のひとつである「国立自然史博物館」に所蔵される、45.52カラット(1カラットは200ミリグラム)の大粒で青い、クッション・モディファイド・ブリリアント・カット(角が丸い四角)が施されたダイヤモンドです。
青く見える様子から、ファンシー・ディープ・グレイッシュ・ブルー・ダイヤモンドとも形容でいるみたいです。
ニューヨーク・ヘラルド紙によると、1908(明治41)年1月19日付のワシントン・ポスト紙の記事で初めて「不運のダイヤモンド」と取り上げられた歴史があるそうです。
何が「不運」なのでしょうか?端的にいえば、持ち主を破滅させる力を持ったダイヤモンドといわれています。
代表例としては、ルイ16世の王妃マリー・アントワネットが挙げられます。
ルイ14世の手からルイ16世の王妃マリー・アントワネットに渡ったホープ・ダイヤモンドは「不運のダイヤモンド」という観点から見ると、ルイ14世を壊疽(えそ)で殺し、マリー・アントワネットをギロチンで処刑します。
アメリカ人大富豪にしてホープ・ダイヤモンドを一時期所有した、エヴェリン・ウォルシュ・マクリーンさんに起きた不幸な出来事も、ラシェル・ベルグスタイン『ダイヤモンドの語られざる歴史』(国書刊行会)、エイジャー・レイデン『宝石 欲望と錯覚の世界史』(築地書館)などに語られています。
エヴァリンさんは、アメリカのコロラドで採掘業を営むトーマス・ウォルシュさんの娘です。ワシントン・ポスト紙オーナーの息子と結婚し、大変な財産を所有していました。
しかし、彼女の転落をかいつまんでいえば、ダイヤモンドの購入に反対していた夫の母親が死に、長男が事故死し、夫が酒におぼれ、裁判を起こして父親から後を継いだワシントンポスト紙を夫が破産させます。
その借金を、エヴァリンさんは負う形になり、ホープ・ダイヤモンドを返済のために売却せざるを得ませんでした。
『小学館の図鑑NEO 岩石・鉱物・化石』には、
<「インドからこの石を持ち帰った商人が不幸な死に方をした」などの話が伝わっている>(『小学館の図鑑NEO 岩石・鉱物・化石』より引用)
とあります。
しかしながら、どの話にも、ダイヤモンドとの明確な因果関係は当然ながら証明されておらず、ダイヤモンドがたどった歴史も大部分が不明確です。
セールス戦略として、ジュエリーと高級腕時計のブランド「カルティエ」の創業者の孫であるピエール・カルティエが、呪いの物語を巧みに強調した結果だとの見方が結局は主流です。
ホープ・ダイヤモンドを持つと不運がやってくるという因果関係が存在するわけではなく、ホープ・ダイヤモンドを所有できるくらいの人の人生は波乱万丈が多い。だから、ダイヤモンドが不運をもたらしているように見えるといった構造が正解なのかもしれません。
ただ、呪いの話を見る者に納得させてしまう力が、ホープ・ダイヤモンドに備わっているという点は、間違いないみたいですね。